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しばらくすると、いつものように優しい笑顔をした福本さんが戻ってきた。そして、その後ろには今まで見たことがないぐらい疲れきった美沙紀さんがいた。
なんでこうなったかはきっと聞かない方がいいんだろうな。
「日下くんは、ミサ姉に何の話しで来たの?」
「ああ、昼間海人と話してた件だよ。バンド一緒にやらないかなっと思って。」
「誘いたい人ってミサ姉のことだったんだ。」
「そう。けど断られたけどね。」
「なんでミサ姉を誘ったの?日下くんはこんなクラスで浮きまくってる、ボッチなんか誘わなくても他にいっぱい友達いるでしょ?」
すげぇトゲがたった言い方してくるな。普段の福本さんからは想像出来ないよ。まさか美沙紀さんをこんな扱いするとは。
まあ本当の理由は答えたくなかったんだけど、この二人ならいいか。
「信頼出来るからだよ。他にも友達はいるけど
、今一番信頼出来るのは美沙紀さんだから。信頼出来るメンバーでやりたいじゃん。」
今の俺には裏切られるのが、最も辛いことだから。美沙紀さんと一緒にやれるのが一番だったんだけどな。
「そう思ってたんだけど、無理強いは出来ない。他をあたるよ。」
「やっぱりミサ姉やるって。ね?」
福本さんの代弁に少し考える美沙紀さん。
「無理はしなくていいですよ。」
美沙紀さんは星を見てるのが好きなのだから、無理してまで、一緒にやってほしくはない。
「条件がある。今日も帰りは駅まで荷物を持つこと。」
「マジですか?いいんですか?荷物なんていつものことだし、全然いいですよ。ありがとうございます。」
やった。美沙紀さんOKしてくれたよ。なんか福本さんの圧に負けた気もしなくはないけど、まあ細かいことは気にしない。
美沙紀さん、福本さん、海人と一緒にやれるのか。楽しみになってきたな。
「今日も・・か。ねぇミサ姉、聞きたいんだけど、日下くんが来たときって、いつも二人で帰ってるの?」
「いや、その、たまに?いやごく稀に?そんなことがあったようなないような・・いや一緒に帰ったことはないかな。」
「何言ってんですか、いつも帰ってるじゃないですか。この間も帰ったし、もう忘れちゃった・・?」
「ユーサックもうやめなさい。」
俺の口を両手でとじる美沙紀さんは必死だった。なんでそんな、必死かというと恐らくブラック福本さんが怖いからだろう。
恐る恐る振り替える美沙紀さんを見て、もう遅いと俺は思った。だって既に黒いオーラを纏った福本さんが俺の目の前に居るのだから。
「へぇ~いつも一緒に帰ってるんだ・・」
なんで、怒ってるのかトリガーがわからないけど、この美沙紀さんを使った福本さんとのやり取りは面白い。なんかハマったな。
海人はどんなリアクションするのか楽しみだな。
「ミサ姉!」
「ああああああ」
美沙紀さんを追いかけ回す福本さんは教室でのイメージとは違うがやっぱり一緒に居て面白い。美沙紀さんも安心するし、やっぱり落ち着くな、このメンバーは。
その後、ひとしきり美沙紀さんが福本さんに懲らしめられた後約束通り、駅までカバンを持って三人で帰った。
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