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「はぁ~もう日下くん・・アタシたちを星に例えて、それらを結んで一つのグループになった。アタシたちのグループ名は星座(コンステレーション)ってのはどう?」
コンステレーション、星座って意味ね。確かに星と星を繋いで星座は出来上がる。俺らが星か。
「いいじゃん。なあ海人。」
「うん、俺もいいと思う。」
「私は星と関わる名ならOK。」
「よし、じゃあ満場一致で決定だ。」
海人は用紙に記入していく。意外にもすんなり決まっていくな。
とか思っていたのだが、外は徐々に暗くなりはじめていた。
「今日はこの辺にして続きはまた明日にしよう。残りの発表曲とやりたい楽器については各自考えといてね。」
「よし、じゃあみんなで帰るか」
海人の話が終わると同時にバックを持って俺は椅子から立ち上がる。
「わりぃ優作、俺まだ用があるんだ。先生に呼ばれちゃってさ。だから先帰ってて」
「なんだよ~全員での初帰宅じゃねぇのかよ。じゃあ三人で帰ろう」
「私はこれからが本番だ。」
美沙紀さんは嬉しそうに望遠鏡を撫でている。暗くなってきたからそろそろ星がみえてくる時間だもんね。
「じゃあ・・」
福本さんと二人で帰るってことになるのか?なんだか急に恥ずかしくなってきた。
えっ、けどマジか。福本さんと二人で帰れるチャンスじゃないか。
「い、一緒に帰る?」
俺は福本さんに勇気を出して、話の流れであくまで誘ったんですよっていう雰囲気を壊さないように注意しながら声をかけた。
「あ、アタシ?アタシはえっと・・アタシも海人くんと一緒に先生に呼ばれてるの。行こ、海人くん。」
足早に海人の手を取って福本さんたちは出ていった。
ポツリと残された俺。
何も走って逃げなくてもいいのに。そんなに嫌だったのか。まさか俺嫌われてる?いやだったら話しかけてこないか。はぁ~まあ福本さんからしたら好きでもないクラスメートより、海人と帰りたいか。
「あの子、意外に積極的ね。」
「一緒に帰りましょうよ。」
「星は惜しいけど、まさか他の男連れて走って逃げられるなんてね。あなたがあまりにも可哀想に思えたから帰ってあげるわよ。カバンは持ちなさいよ。」
逃げたとは思ったけど、普通に声に出して言われると傷つくな。
はぁ俺はため息つきながら、美沙紀さんのカバンを拾うと二人で帰宅した。
次の日、学校に行くとクラスが少しざわざわしていた。
何かの噂が流れているようだが、まだショックから立ち直れていない俺は自席でのんびりと座って始業のチャイムを待っていた。どうやら福本さんはまだ来ていないようだ。
自分の机に塞ぎ混んでいると、急に騒がしくなってきた。
なんだ、なんだと思い顔を上げてみると教室の入り口付近に人集りが出来ている。そしてその中心に居るのはまさかの福本さん。
いったい何したんだ。俺は近くのクラスメートへ話しかけた。
「なぁ、福本さんなんかしたのか?」
「お前知らないのか?福本さん、細川と付き合ってるみたいなんだよ。」
「なんだと!それってマジなのか?」
「昨日二人で仲良く帰ってるのを見たってやつがいたんだよ。」
マジか~ってことはその真偽を確かめるために今囲まれてるんだな。
えっ、ってかマジか~遂に付き合ったのか。
福本さんの思いを知ってはいたけど、まさか海人も好きになってたとはな。驚きだ。
うん、めでたいことだ。
俺は嬉しい。けどやっぱり少し寂しい気もするな。
昨日教えてくれたら良かったのにな。
そっかぁ福本さん海人と付き合い出したのか。
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