スタートライン

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「今日も練習頑張った~」 「お前は途中からだったけどな。」 「うるせぇな。その分他のやつよりペース上げて負荷かけたは」 部活も終わり、海人と他愛もなく話ながら帰っていると、正門付近に誰か立っており、こちらを見ている。 門に近づくにつれて、誰かハッキリと見えてきた。 福本さんだ。正門で誰かと待ち合わせかな?まさか彼氏とか?意外だ。おっと失礼だよね。 けど挨拶ぐらいしとくか。 「福本さん。またね~」 俺と海人が通過しようとした時に再び声をかけられる。 「あ、あの・・」 頬を赤く染めて、恥ずかしそうにしている。 彼女が何かを言いたそうにしているの伝わる。俺が横に居るんだから、いきなり告白とかは止めてくれよ。過去何度か経験がある。 「これ、部活で作ったの。良かったら」 そこには透明な袋に数枚のクッキーが入っていた。 「あの、ごめんね。彼女はクラスメート?」 クッキー袋を差し出された海人は普通の人なら動揺してしまいそうなのに、全然動じることなく返答している。 普通知らない人からなんか渡されたら驚くだろう。さすが、イケメンこういうシチュエーションに慣れてんだろうな。 「そう、俺と同じクラスの福本さん。彼女製菓部なんだよ」 「そっかそっか。けどなんで突然もってきてくれたの?」 海人の質問は最もだ。アイツからしたら友達のクラスメートから突然クッキーをもらったのだからな。 「えっとその、日下くんがほしいって言ってたから」 確かに別れ際に言ったな。まさかこんな早くに持ってきてくれるとは思わなかったけど。 しかも俺じゃなくて海人に。イケメンって特だね。 「なら俺じゃなくて優作に渡した方がいいんじゃないの?」 そうだそうだ。ほしいって言ったのは俺だぞ。 心の中で海人を応援する。 「日下くんの分はこっち。いつも二人で帰ってるって聞いたから、二人分用意しといたの。」 彼女はポケットからもう一つクッキーの入った袋を取り出した。 なんだ~ちゃんとあるじゃないの。 良かった。 「そっか。じゃあ遠慮なく。ありがとね。」 海人はクッキーを受け取りにこりと彼女に微笑んだ。 その姿を見ながら俺は考えた。何故彼女は俺じゃなく、海人に話しかけたのだろうか。 海人とは話したこともなく、遠くから眺めるだけだと言っていた。そんな彼女がなぜ・・ そうか、わかったぞ。彼女は俺を理由に海人と話したかったんだ。海人はイケメンで人気者だから密かに思いを寄せている者は多いだろう。密かに思わずに告白してくる人も多いしね。 なるほど。一瞬ホントに俺の為にと思ったが、ちょっとガッカリ。 まあクッキー貰えたからまあいいか。
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