スタートライン

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俺が話しかけると望遠鏡を覗いていた、美沙紀さんは顔を上げてこちらをみる。 「なんだ草次郎くんか。」 「いや、日下ですよ。くさまでしか名前合ってませんよ。何度か会ってるんですからそろそろ覚えて下さいよ。」 「いや~アタシ好きなことと興味があることしか覚えれないんだよね。」 笑いながら美沙紀さんは頭をかく。 つまり俺に興味は全くないということね。 まあ基本的にこの人は星にしか興味がない。クラスでもずっと星についての本を読んでいてクラスで少し浮いているという噂も聞いたことがある。噂をそのまま信じるというのはどうかと思うが、この人なら十分ありえるなと俺は納得している。 大抵の人は休み時間友達と話すのが楽しいと感じる。だから友達と話すのだ。けど美沙紀さんは他のクラスメートと話すより星の本を読んでいる方が好きなのだ。だから他の人と話すよりも本を優先している。 「こんな時間にどうしたのかしら?」 「クラスメートと友達の恋を応援する為にここで少し時間を潰させて下さい。あと後輩との接し方で困ってるんで相談に乗って下さい。」 「あなたっていつも困ってるわね。」 「困ってる時にしかここにこないですからね。」 「アタシはあなたの都合のいい女じゃないわよ。」 「誤解が生まれるような言い回しはしないで下さいよ。まあ確かに頼りっきりなのは悪いと思いますけど。」 「今日はシュークリームあるし、話ぐらいなら聞いてあげるわよ。」 そう言うと望遠鏡テキパキと片付けた美沙紀さんと、部室へと戻る。 望遠鏡が邪魔で梯子が大変じゃないのかと思ったのだが、手慣れた様子でおりてしまった。 「あなたも食べるでしょ?」 部室に戻ると望遠鏡を終うと、冷蔵庫からシュークリームを取り出して俺に一つ差し出してくれた。 「あざーす。食べます。これって美沙紀さんの手作りですか?ってそんなわけないか」 「失礼ね。っと言いたい所だけど、作ったのはアタシじゃないわ。友達にもらったのよ。」 「友達居たんですね。ってきり星が友達なのかと」 「シュークリーム返しなさい。」 本気で奪いにきた美沙紀さんの手をひらりとかわして、シュークリームにかぶりつく。 膨らんだ生地は何の抵抗もないように口のなかでとけて、中から溢れそうなほどクリームが出てくる。 「これ、うまっ。お店レベルじゃん。」 「確かに美味しいわね。さすがあの子だわ。でっ、ほらあなたの悩み言ってみなさいよ。聞いてあげるから。」 部室の椅子に座り、残りのシュークリームをパクパクっと食べた美沙紀さんは俺にも椅子に座るよう指差す。 「えっとどっちから話せばいいかな。」 「なら、後輩ちゃんの方から。」
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