夜に会う

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1.   子供の頃の私は祖母が大好きだった。  学校が終わり、友達と喋りながら帰る。  私が帰るのは祖母の家だった。  両親が共働きということもあり学校が終われば祖母の家で過ごした。  祖母は私が帰ってきたのを確認するとパッと顔を輝かせて「おかえり」と言った。  それだけで心が落ち着くしここが僕の居場所なんだなぁと感じる。  僕は祖母からお菓子をもらってジュースを飲む。  母にはあまりお菓子ばかり食べないように言われているからこれは母に秘密にしている。  祖母は私に優しくて婆ちゃんといる時間が楽しかった。  この時間が好きで好きで仕方がなかった。  ずっとずっと祖母といれたらいいなと思っていた  祖母に学校であったことを話し、祖母も楽しそうに「それはよかったね」と言って聞いている。  もうちょっと話したかったけれど外で友達が私の名前を呼んでいる声が聞こえる。  祖母とはまた遊び終わってから話そう、そう思って祖母に「遊びに行く」と言って外に出る。  後ろから祖母が「気をつけていってらっしゃい」という声が聞こえた。
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