プロローグ

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プロローグ

 ───薄明かりの灯った一室。  夜。冷たい夜風、月明かりの零れる町の、とある家屋。  その一室では少女が椅子に腰掛け机に向かい。 「……」  黙々と作業をこなして居た。  机側にはランタン。中には火とは違う明かりが灯り、机の上を照  らしている。机の上には幾つかの本と硝子板、硝子板には文字が  表示され、少女が指でスクロールしては。 「(現代での───)」  本と見比べノートに何事かを書き込んで行く。  そうして少女が暫く作業をして夜を過ごしては。 「(……時間だ)」  部屋の時計を一瞥し。開いた本を閉じノートを引き出しに仕舞  い込み。硝子板の上で手を小さく振っては、硝子板が光を失い。 「……」  光の消えた硝子板をベッド横のサイドテーブルへ置いては、少女  はベッドの上で横になる。その動きは規則正しく、毎日と繰り返  されてきた反復行動。昨日を今日になぞるかの様な動作。 「………」  少女は何も考えない。考えるべき事が無いから。だからと直ぐに  瞼を閉じ、今日も夢を見ずに眠って行く───
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