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 本当に?  だとしたら、あれだけたくさんいたリスナー一人一人を、そこまでしっかり見ていたというのか……。  ふぅくんは一時期「ファンサの神」と呼ばれていた。それは、こうした一人一人の認知にあったのかと今更ながらに納得する。  抱きしめたまま、ふと冬音は声のトーンを落とした。先ほどまでは楽しそうにしていたのにどうしたのか。  言いにくそうにした後、重たく冬音は口を開く。 「それでね、僕のあーちゃんも身バレはすごく気を付けてたでしょ? だからたぶん個人的なことは大丈夫だと思うんだけど。……もしかしたら、僕のリスナーさんから、心ない言葉を掛けられることがあるかもしれない。葵ちゃんにじゃなくても、あーちゃんにでもなくても、『ふぅくんの好きな人』を傷つけるようなことを言う人がいるかもしれない。……それでも、僕と一緒にいてくれる?」  なんだ、そういうことか。  それは、冬音がふぅくんであった以上、覚悟していることだった。それくらい、何の問題もない。  大好きな人と一緒にいられる幸せがある。だからきっと、もしそうなっても耐えられる。 「当たり前じゃん。こんなに好きになった人、初めてなんだから。何があっても、冬音のそばから離れないから」  都内の外れにある小さなワンルーム。カーテンの隙間からは、辺りにキラキラと輝く朝日の光が差し込んでいた。
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