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 部屋に招き入れてから、冬音は挙動不審だった。辺りをキョロキョロと見回しては、葵の顔をチラチラと伺う。  いったい要件は何なのか。  やや苛立ちながら葵が口を開き掛けたとき、先に言葉を発したのは冬音だった。 「あのさ、最近、何かあった?」 「……どうして?」 「その、違ったらごめんだけど、泣き腫らした顔、してるから」 「誰のせいだと思って……!」  葵はそこで、言葉を飲み込んだ。ふぅくんと冬音が同一人物であると葵が気づいることに、冬音は気づいていない。  そして、葵の推しがふぅくんであることも、葵の好きな人が冬音であることも、冬音は知らない。  だとすれば、誰のせいだと思って、という言葉は状況を混乱させるだけだ。 「……ごめん、なんでもない」 「そっか、こっちこそごめん」 「うん」  そこでまた、沈黙が流れる。  静寂に包まれた空気を破ったのは、やはり冬音。
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