第7話

1/3
前へ
/22ページ
次へ

第7話

「凌空、おっはよー!いい天気だね!」 「おう!雨降ってっけどな!」 朝学校に行くなり、そう大きな声で挨拶をした 俺達の方をクラスメイトが驚いて見ている。 教室が静まり返る。 それもそのはず、昨日まで俺は誰とも話さず、 挨拶なんか以ての外だった。 けれど昨日の放課後、俺は決めた。 もう一度一から人生立て直そうと。 昨晩俺は家に帰るなり、 家族に頭を下げた。 こんな事をするのは、人生で初めてだ。 けど、家族の親切を受け入れず、 ただ八つ当たりしてしまった事を謝った。 心から。 母さんはボロ泣きで、陽人はニコニコ しながらチョコをくれた。 俺があげる筈だったのに、ほんと申し訳ない 思いでいっぱいだ。 そして父さんは、何も言わずにただ俺を じっと見つめていたが、 やがて微笑んでくれた。 俺達家族は温かい沈黙に包まれた。 俺はその日2回目の涙を流していた。 全てあいつのおかげだ。 感謝しかない。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加