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第8話
虹葉がいない⁉︎ー
~10分前~
俺は勇気を振り絞り、野球部顧問の山本先生に
入部届けを出してきた。
そう、担任に。
山本先生は、女性だけど昔野球チームに
入っていたらしく、
かなりスパルタな指導をしている。
だからこそ、僕の事を唯一しっかりと
理解してくれている先生だ。
その山本先生に野球部復帰の
入部届けを出した。
山本先生は目を見開いて、只々驚き、
「大丈夫なの?本当に?」
心配して聞いてきた。
それもそうだろう。
俺は野球を捨てたのに、
またそれを拾ったのだ。
でも、虹葉と約束したから。
過去と向き合って、前に進むことを。
だから、山本先生の目を真っ直ぐに見返して、
答える。
「大丈夫。俺はまたキャプテンになってみせる。」
「明日からビシバシいくわよー!」
山本先生は嬉しそうに笑っていた。
そして俺は職員室に背を向けて、
出て行こうとした。
けれどその時、山本先生に止められた。
「ね、近藤君。
席の件は変えちゃっていいの?」
あ、そうだった。
「変えないで下さい!音川さんの隣のままにして下さい!」
ふふっと笑った山本先生は、
いたずらっぽく「了解」と言った。
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