プロローグ

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その後、みーちゃんと話しながら楽器をしまい終えて、トイレに行くことにした。人混みをプールのようにかき分けながら、トイレに着いた時、私は思わずフェンスから身体を乗り出した。いつのまにか雨が止み、7色の虹がキラキラしながら空にかかっているのを見た。 わぁぁ!! 「「綺麗!」」 誰かと声がハモった。 低くて、芯があって、どこか優しさを感じる声だった。驚いて声のした方を振り向くと、そこにいたのは、汗と雨でびちゃびちゃになった背番号10のキャプテンだった。 お互い目がまん丸! 「さっきの!!」 と、彼が言った。 「あれ?私を知ってるの?」 「さっきソロやってたよね?カスタネットだっけ?すごく元気と勇気をもらったんだ。 本当にありがとな!」 うそ、嬉しい… あの音が聞こえていただなんて! 「うん!伝わっててよかった。今回の試合は私、大切な事と楽しさを教えてもらったの!!でもね、カスタネットじゃなくて、クラリネット だよ」 そして2人で明るい笑い声を響かせた。 なんだか胸がドキドキする。ワクワクかな。 「俺、近藤凌空(こんどう りく)。よろしくな。」 「うん!私は音川虹葉。」 「あ、そーだ。これあげる。お礼な!」 彼は私の頭にキャップをかぶせてくれた。 そこには、「We are forever 」 ー俺らは永遠ーと書いてあった。 そして明るく白い歯を見せて微笑む彼は、虹の真ん中に立っていて。私には近藤君が太陽の下、眩しい輝きを放っているように見えて目を開けていられなかった。きっとこれが私の一目惚れで初恋。 きっとここから私の中学校生活はきらめき始める。そう思った矢先、私は転校が決まったんだ。
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