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第3話
長月。~The Second September~
私、音川夏虹は、
ただ今思考が追いついていません…‼︎
学校に来てから起きた出来事を整理しよう。
一年ぶりにこの学校に帰ってきた私は、
ワクワクしながら、職員室に入って
「山本先生いらっしゃいますか?」
と言った。
山本先生は1年前も私の担任で、
吹奏楽部の顧問もやっていた。
「あら、音川さん⁉︎久しぶりーー!!」
と私のところに走ってきてくれた山本先生は明るくて、
茶目っ気たっぷりだから、
生徒の間ではかなりの人気だ。
私のクラスは2年4組で、担任は山本先生。
山本先生のクラスになれたのは
本当に恵まれてるなー、とつくづく思う。
そして私は山本先生と雑談しながら
教室の前まできた。
山本先生は教室に入っていった。
私は教室の扉の前で思考を巡らす。
少しドキドキしているが、
ほとんどが知り合いだろうから大丈夫!
だけど、私は朝から心拍数が上がる一方だ。
だって、だって…
この学校には、近藤凌空君がいるんだ。
きっとどこかであの笑顔にまた会えるんだ。
そんなことを考えていたら、
山本先生に呼ばれた。
教室の扉を開ける。
みんなの視線を一気に集めた。
「音川さん、自己紹介してくれるかしら?」
コクっと頷いて、声を張る。
笑顔笑顔!と思いながら
「1年ぶりにこの学校に帰ってきました!
音川夏虹です!再びよろしくお願いします」
みんなは温かい拍手をくれた。
けれど私は見つけたんだ。
1人だけ私に拍手を送らずに、
窓の外を只々見つめていて…
なんだか見たことある子だな〜って
思っていたら、山本先生が、
「音川さんは、近藤君の隣の席ね。」
と言ったんだ。
え…?
近藤君…?
どこにいる?
「窓側の1番後ろよ」
あのさっき拍手しなかった子…?
うそ⁉︎
(そして一行目に至る。)
きっと聞こえなかっただけだよね。
そう思って、席に向かう。
そして休み時間。
「近藤凌空君!だよね…?
私の事覚えてる?」
ワクワクしながら聞いた。
けれどいつまでたっても返事はなかった。
すると、
「かこ!!」
と呼ばれた。
「みーちゃん⁉︎」
同じクラスなの?
嬉しいっ!
「久しぶりだね!あの日から会えなくて寂しかったよ〜」
「私も〜」
あぁ、みーちゃんの笑顔、変わってないな。
安心感のある笑顔だ。
やっと学校に帰ってきたんだな
って感じがする。
結局その日は、クラスの沢山の子に
囲まれてしまって、近藤とは話せなかった。
ーきっと彼の笑顔を見れないと
感じているのは気のせいだー
そう、彼のキャップを見つめながら、
自分に言い聞かせていた。
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