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第4話
ー俺、もうあいつにあわせる顔がないんだー
俺近藤は、
あいつがこの教室に入ってきたとき呼吸が
止まるかと思った。
心臓がバクバク鳴って必死に呼吸を
整えていた。
もう、もう俺は会いたくない。
いや、会えないんだ。
必死に冷静を取り繕って、
窓の外を眺めていた。
まるで貴方の存在を知らないとでも
言うように。
けれど、先生はそんな俺の気持ちも知らずに
隣の席ねー、なんて言ってきたんだ。
思わず叫びそうに鳴ったが、
俺は他人、俺たちははじめまして、そう
自分に言い聞かせて耐えた。
正直初めて、山本先生を憎んだよ。
実は、明るい音川さんは男子にとても
人気で、そういう俺も音川さんが好き
だった。
そして俺は女子から人気がある。
いや、今は過去形だ。
確かedをつけるんだっけな。
じゃなくて、、、。
俺はあの日の事故から、
人と喋らなくなった。
自分のエネルギー、野球を失って
自ら全てを捨てたに等しい事をしたんだ。
今では、俺がみんなに冷たくあたったせいで、もう誰も相手をしてくれない。
だから俺は、彼女に覚えているのか
聞かれた時、はっきりと無視をした。
でも、心の中では、
覚えてるよ。俺の1番の思い出だよ。
そう言っていたんだよ。
きっと伝わらなかったんだろうけどね。
俺にとってあの日は大切なんだよ。
本当は伝えたかったな。
だからこそ、あいつが転校してきて2日目、
朝一番に誰もいない教室で
「ねえ、覚えてるんだよね⁉︎いい加減に
無視しないでよ!俺らは永遠、じゃないの⁉︎」
と言ってきたときは、なんだか悔しかった。
俺があげたキャップの事か。
俺だって永遠を望んでたさ。
「うっせぇ!俺は…あの日の
俺はもういないんだよ!
あの日全て終わったんだ!」
俺が一年ぶりに学校で発した言葉はこれか。
惨めだな…
「何言ってるの‼︎」
泣き混じりのあいつの声が聞こえる。
あいつの姿が滲む。
ごめん…
「もう俺に関わらないでくれ。」
精一杯の力を振り絞ってそう言った。
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