第5話

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第5話

部屋の壁にかけられたキャップを ぼーっと見つめる。 あの日私が引っ越さなければ 何も変わらなかったのだろうか。 あの日私達の心は一瞬にして通じ合った ように感じたのは私だけなのだろうか。 あの日の彼の笑顔は偽物だったのだろうか。 私は全てそうだとは思えない。 あの日虹の下で起きた奇跡は 確かなものだったはずだ。 彼の笑顔は本物だった筈だ。 なら、なぜ彼は変わってしまったのだろう。 「かこ、早く朝ごはん食べなさーい」 思考をフル回転させていたら、お母さんに 怒られた。 そして、 「かこらしくないね。何があったか知らないけどね、かこは、自分の思った通りやれば大丈夫よ」 と言ってくれた。 自分の思った通りか。
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