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その時、叶恵が勢いある声で、二人の女性に語りかける。
「あのさ。あなたたち二人とも、まだ若いんでしょ! 人生これからでしょ!」
唖然とした様子で顔を上げる女性二人。
「私が見た占いでは、・・まず、あなただけど。」
叶恵が、片方の女性を見て言った。
「この辛い時期を頑張って乗り越えれば、2年後に、凄く良い男性と出会えるわよ。」
「え〜〜〜⁈ それ、本当ですか⁈」
女性は今まで以上に、驚嘆の声をあげる。
「よ〜し! 私、それまで頑張ろ!」
「そして、あなた。」
続けて、叶恵はもう一人の女性を見る。
「あなたは、今までの資格を取ってきた事と、頑張り屋の性格が認められて、望んでいた美容関係の仕事に就く事が出来る。」
「え〜‼︎ 本当ですかあ⁈」
こちらもまた、店の外にまで響く程叫んだ。
「何か、未来が明るく照らされてるって感じね〜。」
「私たち、まだまだこれからよ。」
二人の女性客は、お互いに手を取り合うように喜び合っている。
叶恵は、その光景を微笑ましく見ていた。
そこで再び、一人の女性が叶恵に言う。
「あ、じゃあ、もう一つ。将来どんな所に住んで、どれぐらいお金持ちになってるのか、見てもらっても良いですか〜?」
「ああ、確かに。幸せならアパートでも良いけど。出来ればマイホームを持ちたいわよねぇ。」
叶恵は苦笑いしながら、困った表情で答えた。
「あなたたち、それぞれタコ焼き一皿だけ注文して、よく一時間以上も店に長居出来るわよね。まあ、・・・良いけど。」
そうして、叶恵が改めて占おうとした矢先、店の外から声が聞こえる。
「御免くださ〜い。」
その途端、叶恵は意地悪そうに二人の女性に笑いかけるのだった。
「お客さんだ〜、残念。また次来た時、占ってあげようね〜。」
それを聞いて二人の女性は、渋々カウンター席から立ち上がる。
「え〜! タイミング悪い〜。」
「次、いつ来れるかな〜。」
叶恵は、店先に来た客を対応する為、窓口から外を見た。
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