ケース5️⃣ 前世宿縁

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ここは、スーパーエブリィ。 辺りは陽が落ちて薄暗くなっていた。 時刻は、17時過ぎ。 つい先程スーパーに到着した貴志が、ボルドー色の制服エプロンをつけて、店内に現れる。 「あ、やっと来た〜!」 業務に取り掛かろうとする貴志を、元気な声が捕まえた。 その主の方を見ると、腰に手を当てて立っている美咲の姿がある。 相変わらず、あどけなさはあるが、最近大人びてきた雰囲気の彼女は、薄く化粧をしており、同じボルドー色の制服エプロンの下は、膝丈のワンピースを着ていた。 「何で? 俺、別に遅刻してないし。」 貴志は、相手にしないといった素振りで、一言だけ返してさっさと歩いていこうとする。 それを逃さず、美咲が横に並んでくると、 「貴志に〜、聞きたい事があってさ。待ってたんだよ。」 唐突に投げかけてきた。 「聞きたい事?」 貴志は歩きながら、疑問な顔をする。 その足は忙しそうに、倉庫へと向かっていた。 しつこく付いてきた美咲が、貴志に尋ねる。 「ほら、もうすぐクリスマスでしょ? その日、何してるかなあ、と思って。」 「何してるって。24と25だろ。その日が何曜日か分からないけど・・・・。」 美咲が喰らいつくようにして言った。 「24日が木曜日で、25日が金曜日ですぅ〜。」 貴志は呆れた顔で一つ溜息をつくと、台車を取り出す。 「・・じゃあ、その日も学校か、バイトだろ?」 「貴志って、本当楽しみがないよねえ〜。彼女もいないし。」 美咲が、ニッコリ意地悪そうに笑った。 「あのさ、俺をからかうつもりなら、忙しいんだから、向こうに行ってくれよ。」 貴志が台車を押しながら、不機嫌になる。 すぐに、美咲が追いかけてきて横に並んだ。 「まあまあ。そんなに絶望しないで。楽しみっていうのは自分たちで作らないと。学校とバイトだけじゃ、つまらないでしょ。」 「何があるんだよ。」 貴志は美咲の方を見ないで、押してきた台車を止め、段ボールに入った商品を乗せはじめる。
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