ケース5️⃣ 前世宿縁

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また返事を返す貴志。 「ああ。ありがとう。」 そこでお互いに、微笑み合った。 その時に、貴志が表情を変えて投げかける。 「あの、美咲。別の事だが、話したい事があるんだ。」 「話したい事?」 美咲が、不思議そうな顔をした。 貴志は咳払いをして、自分の気持ちを整える。 「あ、あの・・『前世』って信じる?」 「はあぁ⁈ 『前世』⁈ 何? どういう事?」 突拍子もない話題に、美咲は首を傾げた。 「あ、いや・・何を、何から話せばいいか・・。」 貴志は戸惑いながら、言葉を考えている。 美咲が疑うような目をして、聞き返した。 「それ、テレビの番組か何か? 『前世』って、前の人生って事でしょ?」 「うん。まあ、そうなんだよ。」 貴志は、取り止めのない言葉でまとめる。 そこで、美咲が答えた。 「まあ・・『前世』って不思議な事だし。信じてるっていうか〜、あるような気がする。よく分からないけど。」 「そうか・・。実は、その『前世』の事で。美咲の・・。」 貴志が、いよいよ美咲に説明しようとした時、玄関の方でドアが開く音がする。 「あれ? 鬼切店長かな?」 美咲が、その音に反応した。 すると勢いよくドアを開けて、リビングに入ってきたのは、やはり鬼切店長その人だったのだ。 「すまないな。遅くなってしまって。」 そう言いながら、鬼切店長がリビングへと入ってくる。 「心配しましたよ〜。鬼切店長、遅すぎるんだから。」 美咲が笑いながら、迎え入れた。 「鬼切店長。大変でしたね。」 その後、貴志も続けて言う。 改めて、鬼切店長が時計を見ながら時間を確認した。 「もう、こんな時間だ。申し訳ないが、今日のクリスマスパーティーは、ここでお開きだな。」 「え〜! 私は朝まででも大丈夫です〜。」 美咲がそんな事を言っていたが、鬼切店長がしっかりと忠告する。 「ダメだ。貴志も美咲も、まだ高校生なんだから。あんまり遅くなると両親も心配するだろうし。クリスマスだからって、ハメを外しすぎない事。」 「は〜い。」 美咲は納得していない返事をしたが、結局クリスマスパーティーは、そこで終了した。 鬼切店長が、夜道は危ないからと危惧して、タクシーを呼んで送ってくれる。 こうして貴志たちの、それぞれのクリスマスは終わったのだった。
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