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また返事を返す貴志。
「ああ。ありがとう。」
そこでお互いに、微笑み合った。
その時に、貴志が表情を変えて投げかける。
「あの、美咲。別の事だが、話したい事があるんだ。」
「話したい事?」
美咲が、不思議そうな顔をした。
貴志は咳払いをして、自分の気持ちを整える。
「あ、あの・・『前世』って信じる?」
「はあぁ⁈ 『前世』⁈ 何? どういう事?」
突拍子もない話題に、美咲は首を傾げた。
「あ、いや・・何を、何から話せばいいか・・。」
貴志は戸惑いながら、言葉を考えている。
美咲が疑うような目をして、聞き返した。
「それ、テレビの番組か何か? 『前世』って、前の人生って事でしょ?」
「うん。まあ、そうなんだよ。」
貴志は、取り止めのない言葉でまとめる。
そこで、美咲が答えた。
「まあ・・『前世』って不思議な事だし。信じてるっていうか〜、あるような気がする。よく分からないけど。」
「そうか・・。実は、その『前世』の事で。美咲の・・。」
貴志が、いよいよ美咲に説明しようとした時、玄関の方でドアが開く音がする。
「あれ? 鬼切店長かな?」
美咲が、その音に反応した。
すると勢いよくドアを開けて、リビングに入ってきたのは、やはり鬼切店長その人だったのだ。
「すまないな。遅くなってしまって。」
そう言いながら、鬼切店長がリビングへと入ってくる。
「心配しましたよ〜。鬼切店長、遅すぎるんだから。」
美咲が笑いながら、迎え入れた。
「鬼切店長。大変でしたね。」
その後、貴志も続けて言う。
改めて、鬼切店長が時計を見ながら時間を確認した。
「もう、こんな時間だ。申し訳ないが、今日のクリスマスパーティーは、ここでお開きだな。」
「え〜! 私は朝まででも大丈夫です〜。」
美咲がそんな事を言っていたが、鬼切店長がしっかりと忠告する。
「ダメだ。貴志も美咲も、まだ高校生なんだから。あんまり遅くなると両親も心配するだろうし。クリスマスだからって、ハメを外しすぎない事。」
「は〜い。」
美咲は納得していない返事をしたが、結局クリスマスパーティーは、そこで終了した。
鬼切店長が、夜道は危ないからと危惧して、タクシーを呼んで送ってくれる。
こうして貴志たちの、それぞれのクリスマスは終わったのだった。
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