14人が本棚に入れています
本棚に追加
そこで叶恵が、二人の刑事に投げかけた。
「こんなに詳しく言い当てる占い。どう? 捜査にも活用出来るんじゃない?」
松田が説明する。
「確かに、本来分からない部分を見通し、真相や内情を知る手立てになるのかもしれない。だが問題として、捜査である以上、その内容を警察関係者ではない一般人に教えるわけにはいかない。それと俺たちは、証拠こそが重要となる。いくら当たっていたとしても、それで犯人を捕まえるわけにはいかない。あくまでも行き詰まった時の参考にする、って感じだな。」
「なるほどね〜。そういう事か〜。」
叶恵も納得して聞いていた。
そしてまた、やる気スイッチが入ったような顔になり、今度は松田の方を見る。
「じゃあ次は、松田さんね〜。」
そこで江戸川が、気まずそうに忠告した。
「いやもう、インチキじゃないって分かったし。あんまり個人情報を見るのは、占い師でも許されないだろ。」
叶恵はまるで、子供のように心躍らせて返す。
「大丈夫、大丈夫。サラッと見るだけだから。」
そんなやり取りの中、松田はタコ焼きを食べ終えて、楊枝で歯を掃除しはじめた。
「じゃあ、始めるわよ。」
叶恵は再び鋭い目つきになり、松田の目を見つめる。
動じない態度で、叶恵を見返す松田。
そして叶恵は、松田の事をじっと見つめ続ける。横にいる江戸川は、心配そうに見ていた。
程なくして、叶恵が告げる。
「名前は、松田・・・譲二《じょうじ》。・・っていうか、凄いワイルドな名前ね。本当に見た目からして、譲二って感じだもんね。」
松田は、楊枝を咥えたまま黙っていた。
気を取り直して、叶恵が続ける。
「年齢は、31歳。身長は・・・わっ! 本当に、196cmなんだ! 凄い!・・・血液型は、O型。東京のほうで生まれ育ったみたいだけど。父がブラジル人で、母が日本人。最初は建設業者で少しの間、働いていたみたいだけど。その後、警察学校に行って、経験を買われて刑事課にいったんだね〜。」
黙って聞いている松田。
その横で、江戸川が焦った表情で、首を傾げる。
「本当に、当たってるよ。」
最初のコメントを投稿しよう!