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ニヤリとした叶恵が、更に話し続ける。
「好きな色は、黒。趣味は、っと・・ブラジリアン・・柔術・・? 柔道みたいなやつかな。よく分からないけど。性格は、隠れ努力家。ストイック。しかも見た目と違い、凄く優しい心の持ち主。で、えっと・・独身か。ん?・・・・あれ? 一度、結婚していたね。」
叶恵が投げかけた時、ちょうど松田の携帯電話が鳴った。
席を立ちながら、電話に出る松田。
「・・はい。松田です。」
静かに聞いている、叶恵と江戸川。
「はい。今、江戸川も一緒にいます。」
松田は、電話の相手にそう話しながら、そのまま店の外へと出ていった。
そこで、江戸川が叶恵に言う。
「多分、刑事課からの電話です。」
「刑事って、大変ねえ。ゆっくり昼食も出来ないわけだ。」
叶恵が、同情するかのように言った。
そこで江戸川が、少し真剣な表情になって話す。
「松田さんは、・・あんな風に表には出さない感じですけど。この仕事に対して、真剣なんです。特に、今回捜査している事件に関しては、命をかけてるんです。」
それを聞いて、叶恵が尋ねた。
「へえ〜。今回の捜査って、それほど重大な事件なんだねぇ。」
江戸川の表情が曇る。
「捜査自体も重大だけど。・・うん。まあ、得意の占いで見れば分かると思うけど。・・松田は、この事件で、奥さんと子供を殺害されているんだ。」
「えぇ⁈ 殺された⁈」
叶恵は驚きの表情で、大きな声を発した。
「えぇ?って驚いてるけど。その過去はまだ、占いで見えてなかったのか?」
江戸川が目を細めて問いかける。
「まだ見てなかった。えー! 殺された⁈ 酷すぎる・・。」
叶恵が、自分の口を押さえながら言った。
江戸川は昂《たかぶ》る感情を抑えるようにして話す。
「もうすぐ3年経つと思いますが。その事件の奴らはまだ捕まってないんですよ。松田さんは、その無念を晴らす為、命をかけて事件を追ってるんです。」
その事実に叶恵は、声を震わせた。
「・・そんな。松田さん。辛かったでしょうね。」
「それで、俺も事件解決は仕事ですから、当然なんですけど。松田さんの思いも含めて、絶対に犯人を捕まえたいんです。」
江戸川が、熱い口調で話す。
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