ケース5️⃣ 前世宿縁

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綿星は咄嗟に、自分の話した英語が通じなかったのだと思い、再び言い直した。 「オー、ベイビー・・。あ〜、イングリッシュ? ベリーベリー、グッド。あ〜、マイ、ジャパン!」 「ワタシ、日本語、話せマ〜ス。」 そう言って、女性はスッくと立ち上がる。 その時、焦っていた綿星は、更に驚愕した。 目の前で立ち上がった女性は、綿星よりも背が高く、その体型は見事な9頭身程のスレンダーだったのだ。 色々な困惑と、幻惑の美しさに思考が麻痺して、綿星は静止した状態になっている。 そしてなんとか我にかえると、女性を見上げながら応対した。 「ああ良かった。日本語が話せるなら。」 綿星がそう言うと、そのままでも美しい女性はニコッと笑いかけ、まるで華が咲き誇ったかのように魅了する。 「ありがとうございマスゥ。」 「ハハ・・。いやぁ〜本当に良かった。俺も英語が出来ないわけじゃないんだけど。日本語の方が、細かく伝わるから。」 ここの辺りは、あまり人通りが少なく、時々老人や自転車に乗った人が行き交うだけであった。 綿星は、緊張高ぶる自分を押し殺し、沈黙してしまわないように振る舞う。 「あ、あの座り込んでたみたいだけど、大丈夫?」 すると女性は、白いパンプスを履いた自分の足元を見ながら答えた。 「歩いていたら、つまずいて・・。少し足を痛めたんデスゥ。でももう、大丈夫デス。歩けマス。」 「そ、そうか。良かった。」 心配そうに、綿星が言う。 「アナタ。優しい男性ですネ。」 女性は、また笑顔を向けた。 「あ、いや、優しいっていうか。当たり前の事をしただけで・・。まあ、いつも優しいって言われるんだけど。ハハ。」 綿星は照れ笑いしながら、嬉しそうに話す。 それに対して、女性も笑顔で返した。 「アナタ。今、一人? 占いは好きですか?」 その言葉に、綿星の気分は最高潮に高まり、声が裏返りながら調子良く答える。 「おお! 俺、占い大大大好き! しかも、一人〜! 大丈夫! 彼女いな〜い!」 女性も嬉しそうに、微笑み返した。 「アナタ、優しいし、占い大好きね。特別に案内するわ。」 「おお! 特別に⁈ 行こう! 行こう!」 すると女性が先導しながら、綿星を通路へと誘導する。
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