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気がつくと、メグはいつの間にか、奥のテーブルの椅子に座り、こちらを見ていた。
「どうぞ。こちらへ。綿星さん。」
「あっ・・。はい。」
綿星は虚をつかれた感じで、一瞬戸惑ったが、言われるがままに足を進める。
薄暗い一室の中で、見紛《みまご》う程の美しい女性・メグがニッコリ微笑んでこちらを見つめているのだ。
綿星は、不自然と不釣り合いな状況に、理解し難い感覚をおぼえる。
程なくして、綿星もテーブルの椅子へと腰掛けた。
ちょうどテーブルを挟んで、メグと向かい合う形となる。
美貌漂うメグが、綿星に笑いかけた。
「綿星さん。心配しないで。知らない場所で、緊張してるんでしょう?」
椅子に座ったまま、辺りを見回しながら綿星が尋ねる。
「ここは? ・・君の家?」
「イイエ。ここは、『カルマの館』デス。」
「カルマの館?・・・占いをする所なんだよね?」
綿星が、メグに聞き返した。
「その通りです。私は子供の頃から、普通の人にはない、不思議な力を持っていマス。それで、見えないモノを見てあげているのデェス。」
「そ、そうなんだぁ。メグちゃん、凄いね。」
綿星が、褒めてあげる。
部屋の中で、二人の声だけが響いた。
僅かに灯るランプの炎が、頼りなく揺れ続ける。
「・・緊張を解いて。私を、信じてみてくだサイ。」
「ハハ。俺、占いに凄く興味があるから、大丈夫だよ。今まで色々な占いに行ってきたんだ。」
綿星が、和ませるように話した。
「じゃあ、メグちゃんに、占ってもらおうかな?」
「分かりました。占いましょう。」
メグが、綿星に応える。
「でも何か、こんな綺麗な占い師に出逢った事ないから、緊張するよねぇ。」
苦笑いで言う、綿星。
「では、はじめますネ。」
メグが言った。
向き合った二人は、じっと目を合わせる。
美しいブロンド髪と、透き通るような白い肌。それに加えて、一度見ると二度と忘れられないような、大きなブルーの瞳が、綿星を見つめ続けた。
そして、メグが口を開く。
「・・では、綿星さんに、聞きます。」
「ん? 何? 何でも答えるよ。」
素直に受け応えをする綿星。
落ち着き払った雰囲気で、メグが綿星に尋ねた。
「・・綿星さん。・・・アナタは、『前世』を信じますか?」
—————ケース6に続く ————————
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