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その後、井原は我が娘に裏切られたショックで失意のどん底に陥った。そうして病み期に入り、家で純子と目を合わすことがあると、恨めしやと化けて出た幽霊みたいな顔つきになるので純子は途轍もなく不気味に思い、心底、ぞっとするのだった。
純子と徳大寺が出来てしまったという思いで闇の中から抜け出せないでいた井原に追い打ちをかけるように純子が高校卒業前に妊娠していることが発覚した。
で、井原は徳大寺と純子の出来ちゃった婚を恐れたが、純子は高校卒業後、徳大寺と出来ちゃった婚ではなく真の愛を持って結婚に持ち込む腹でいた。
徳大寺も真の愛を持って純子との結婚に向けて精力的に就活して再就職を果たした。
だからこの頃、機嫌の良い純子を見るにつけ井原は何やら機嫌が悪くなり、おまけに休みの日に徳大寺と付き合っているようだから到頭、業を煮やして息巻いた。
「おい純子!お前、まさか徳大寺と一緒になる積もりじゃないだろうなあ!」
「その積もりだけど」
「な、何だと!あんな甲斐性なしとか!」
「甲斐性なしじゃないわ!徳大寺さんは大手上場企業に就職したんだから!」
「何!それは本当か!」
「本当よ!だからパパは徳大寺さんに何にも文句を言える立場じゃないわ!だって私は喜んで徳大寺さんの子供を産んで徳大寺さんと結婚するのを心から望んでるんだもの!だから我が娘を犯されたと思うのはとんだ御門違いよ!」
「し、しかし、徳大寺は俺をロープでグルグル巻きにした上で俺の前で純子と・・・」
「でも、その結果、私は徳大寺さんを好きになったの」
「な、何ということだ・・・」
「今更まだ何、言ってるの」
「し、しかし、こんな話って・・・」
「有り得ないって言いたいんでしょうけど、実際に私は徳大寺さんが好きになったの」
井原は丁度、恋人に振られ、恋人を横取りされたのと同じ心境に陥った。「しかし、俺は徳大寺との結婚は許さん!」
「あっ、そう。パパがその積もりでも私は高校卒業したら徳大寺さんと同棲するんだからパパはどうしようもないわ!」
「ふん、そうか。それなら勘当だ!」
「あっ、そう。それでも私は構わないわ!」と純子は叫んだ勢いで、すたすたとその場を立ち去ってしまった。彼女の意志は鍛え上げられた鋼鉄の如く堅いのであった。
実親に対するなんという実子の態度・・・取り残された井原は、なんてあの子は冷たいの、とほほと嘆く余り逆に娘から縁を切られた気がして先の言葉を撤回したくなった。純子との縁を切るなんて・・・しかし、どっち道もう純子と風呂に入りたくても入れなくなったし、セックスしたくても出来なくなったし・・・と諦めようにも未練があるばかりに残念無念に思うのだった。
それにしても一物一つでコロッといくものなのだろうか・・・そうさせる徳大寺の一物って一体・・・井原は徳大寺と純子のセックスを思い起こし、確かにあいつの一物は俺よりでかかった。超弩級だ。それにうまい具合に上に少し反っていた。あの鬼頭が丁度、純子のGスポットに当たるんだ。しかし、それにしてもそれだけで・・・俺の性教育の所為か・・・それとも俺と風呂に入る度に俺の一物を見せつけられ、男の価値は一物で決まると頭に叩き込まれ植え付けられた所為だろうか・・・そうだ、そうに違いない。純子はファリシズムに陥ったんだ。そう言えば徳大寺の一物を見た時の純子の色めきようといったらなかった。おまけにあの半端ない悩ましい喘ぎ声・・・徳大寺は一度は部長にまでなった男だが、はっきり言ってブ男だ。俺にしたって・・・つまり純子が徳大寺と出会うまで俺を好きでいてくれたのは、そして徳大寺を好きになったのは偏に一物が気に入ったからだ。嗚呼、何ということだ!
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