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そこへ、若い竜の体調をチェックしていた『白き者』らがやってきた。
「シュアン殿に診ていただき、体力も気力も充分に回復しておりました」
「誠にありがとうございます」
「よかった。皆と一緒に帰れそうなんだね」
ツキシロが嬉しそうにいうと、『白き者』らは苦笑して顔を見合わせた。
「こちらでは、随分とよくしてもらったようで……」
「なかなかに名残惜しく……」
「……え?」
若い竜の方を見ると、タツマキと顔を寄せ合って鳴きあっていた。
「わお……。いいお友達ができたんだね」
「みたいだな」
ザクロは竜たちの元へ行った。
その後ろ姿を見ながら、ハイシロがツキシロに囁く。
「洋上を飛んでる時、ツキシロの悲鳴が聞こえてビックリしたけど………ザクロ、つるつるになったね。火傷跡、消えちゃった」
「ああ、どういうことなんだかサッパリ解んないんだ。後で突っ込んで聞いとかなくちゃ」
「スカーフェイスもカッコよかったんだけどなぁ……」
「それよかさ」
ハイシロを突いて、ツキシロは目配せした。
「『白き者』の若長、なかなかいい感じじゃないか。フサフサしててハイシロ好みだし」
ハイシロは真赤になって、ツキシロの肩をペシッとたたいた。
「やめてよー。これから一緒に帰るのに意識しちゃうじゃないのー」
「いいじゃん。押しまくれば? んで、いい具合になったら教えてよ」
「私、ツキシロみたいにグイグイ行けないんだけど……」
「縁があれば、何とかなるって」
ハイシロは、一瞬口をつぐんでツキシロを見た。
「そうだね。……ツキシロも、そうだったもんね」
ニッコリ笑みを返す。
ザクロが、しょげているタツマキを抱えて戻ってきた。
「お前も、もうちょい大きくなったらあっちに飛んでいけるから、な?」
双子は顔を見合わせ、クスリと笑い合うと、タツマキを慰めに行った。
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