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講義中、ふと黒木の背丈が気になった。
身長低め···。座っていると尚更よくわかる。
黒木の隣にいる蓮の横顔が見えるから。
「···ねぇ、あれ何て読むの?」
小声で隣にいる蓮に話しかける黒木。
ボードに講師が書いた漢字が分からないらしい。
「黒木、俺を誰だと思ってる···。」
真顔で講師がボードに書いた感じを見つめる。
黒木は蓮の横顔をじっと見ている。
蓮が答えを口から出す。
「娘(むすめ)だ!」
·····違う。
狼(おおかみ)が正解。
「蓮君、娘じゃないから聞いたんだけど···。」
黒木の蓮を見る目が何故か俺の方にもどんよりと漂ってきた。
「後で調べればいいだろ···。」
自信がないのが分かる発言。
すると黒木が隣にいる俺に蓮と同じ質問をしてきた。
「赭岐君、あの漢字なんて読むの?」
俺は黒木と目を合わせず講師の話を聞きメモを取りながら答えた。
「···おおかみ。」
黒木は、ひそっと「ありがと♪」と言った。
その後、ずっと蓮の視線をヒシヒシと感じながら講義が終了。
蓮の痛い視線のせいで身体に力が入って疲れた···。
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