3人が本棚に入れています
本棚に追加
「眠い……流石に寝てなさ過ぎるな」
目を擦り、欠伸を噛み殺しながら歩く大男。見上げる程の巨体とはち切れんばかりに発達した筋肉を包むのは、その体躯と風貌に全く似つかわしくない、所謂【学生服】であった。
「まあ、これから仮眠取れば良いか」
「学校を仮眠室呼ばわりするのはどうなの……?」
「……優貴か。今日は珍しく1人なんだな」
「まあね。仁はいつも通り1人だね」
「やかましい」
優貴と呼ばれたのは、身長180cmほどで整った顔立ちを持ち、程よく引き締まった体付きをした青年だ。仁と呼ばれた大男とは対象的に、学生服をスマートに着こなしている。
「って言うか仁……土日の間にまた大きくなった?なんか学ランがパッツパツなんだけど」
「10kgしか増えてねえよ。学ランの生地が硬えだけだ」
「……今体重何kgなの?」
「196kgだな」
「身長は……?」
「2m」
「……もうなんか、流石榊家の本家筋だよね。色々とおかしいもん」
榊家の人間は、現生人類とは明確に別種の生物である。
それは例えば、現代の科学や医学では説明できない強大な身体能力。
例えば、人類は勿論のこと野生動物すら遥かに凌ぐ五感。
例えば、あらゆる毒、細菌、ウイルスに対する絶対的な免疫力。
と、書き連ねたらきりが無い。この信じ難い事実を知っているのは各国首脳と国連の研究機関のみであり、国内であっても皇族と一部の政府高官にしか知らされていない。
最初のコメントを投稿しよう!