自慰の指導

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自慰の指導

 きっと揶揄いや嘲りが浴びせかけられると思っていたが、律が口にしたのは思いもかけなかった言葉だった。 「……おまえ、可愛いな」 「……え?」  恥ずかしさのあまり涙ぐむ僕の目尻を長い指でそっと触れてから、律はにっこりと笑う。 「でもオナニーさえも下手そうだな、陽馬って。仕方ない、お兄ちゃんが教えてやるよ」 「は? な、何言って……? ……わっ?」  有無を言わせぬ強引さで律はベッドに上がって来ると、僕の上に覆いかぶさる形になった。  そしてあっという間に僕の制服のネクタイを解き、Yシャツのボタンを器用に外して胸をはだけさせると、露わになった胸の突起をクリクリと指で転がした。 「な、何、する……っあ……」  触れられたそこからもどかしい快感が走り、下半身へと伝わる。 「やっ……やだ……あ……」 「可愛い乳首。綺麗な桜色してるし。女でもここまで綺麗な色した乳首ってなかなかいないよ? 陽馬」 「も、もう、やだってばっ……」  気持ちはよかったが、それよりもまだ恥ずかしさが勝って、僕は必死に律の体を押し返そうと抵抗した。  だが、そのスリムな体に似合わず律はビクともしない。 「何言ってんの、今、やめたら辛いのは陽馬だよ?」  律はゾクッとするくらい色っぽい笑みでそう言うと、左手の指で乳首を弄りながら、右手は僕の勃ち上がった性器に触れる。 「ああっ……」  下着の中に手を入れられ直に昂ぶりに触れられると、快感に負け、もう抵抗できなくなる。  僕の唇から抑えきれない高い嬌声が零れると、律は左手の人差し指を唇に当てた。 「声、抑えて。下の母さんに聞こえちゃう」 「じゃ、じゃあ、もうやめてよ……お願いだから」  本音を言えば、こんな状態でやめられたら辛いのだけど、階下に母さんがいるという言葉が僕にストッパーをかけさせる。  しかし、僕が半泣きで訴えても律はやめてくれない。 「やだ。これからもっと気持ちよくなるんだから。ちゃんとやり方覚えておけよ? 陽馬」  律は耳元で低く囁くと、僕の性器を握った右手を淫らに蠢かせた。 「……あっ……っう……う……」  律の手で施される愛撫はとてつもなく気持ちが良くて。  こんなことあってはいけないと思いつつも、いつしか僕は律の与えてくれる快感に溺れて行ってしまう。  律の愛撫の巧みさに僕はあっという間に限界を迎えて……。 「やだ、やっ……、離して……やっ……」 「陽馬……、いいから、このままイケよ」  低く響く声で僕を唆す律。 「あっ……ああ……」  我慢をすることができずに律の手の中で僕は果てた。
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