ひまわり町の猫端会議

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 けれども、数日前から各猫役員の飼い主の家族も在宅ワークや学校が休みとなり、気軽に出掛けられなくなってしまった。  そこで考えたのが、猫役員たちで情報を共有し合って、同じ町内会に住む温厚派の野良猫たちに依頼するというものだった。  温厚派の猫たちの中には、報酬という名の飯さえ貰えれば、家出猫の捜索や喧嘩の仲裁を引き受けてくれる者が多く存在しており、そういった野良猫たちに猫役員の代行をお願いした。  肝心の情報共有の方法は、シロエが温厚派の野良猫たちに言付けを頼んで、各役員に伝言してもらった。  それを毎回お願いしていたところ、今度は報酬が全員に行き届かなくなった。  報酬という飯を、シロエは飼い主から与えられる自分のおやつから分けていた。  当然、自分のおやつが減り、空腹で悩まされる事になった。  空腹で、台所の猫用おやつを漁っていたら、在宅ワーク中の飼い主の家族に見つかってしまった。 「こら! 何をやっているの!?」  怒られたシロエは、おやつの場所を変えられたばかりか、飼い主と飼い主の家族から監視されるようになった。  ますます、行動の自由がきかなくなってしまったのだった。  当然、野良猫たちと連携を取れなくなり、餌が貰えなくなった事で、伝言役を引き受けてくれなくなった。  どうにかして、猫役員たちと連絡を取れないだろうか、と悩んでいる時に気がついたのが、パソコンに向かって独り言を言っている飼い主であった。  興味本位で飼い主に近づくと、独り言ではなく、パソコンの向こう側に居る相手と話していたのだった。  これは使えると思ったシロエは、当初より少なくなった野良猫たちにお願いして、パソコンを通して猫役員たちと会議をする事にしたのだった。  日時を決めて、飼い主が寝静まった丑三つ時に最初のオンライン会議を行う運びになった。  しかし、ここで猫役員の内、パソコンを持っていた猫役員は多数いたが、パソコンの使い方を知っていたのは、シロエを含めて六匹しかいない事が判明した。
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