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また直前になって、飼い主が夜間に仕事をするマツエと、夜間に飼い主がネットゲームに興じるクノエは参加が出来ないと連絡がきた。
猫役員の参加者が少ないのは痛手ではあるが、この際、わがままを言っていられなかった。
会議に参加した四匹と打ち合わせをして、他の猫役員には別に連絡をする。
このまま、何かしらの方法で会議をしなければ、ひまわり町に家出猫が増え、野良猫たちの縄張り争いが激しくなる。
背に腹は変えられなかった。
「今回は家出猫の捜索が六件に、野良猫たちの争いが十六件……。例年より多くないか?」
「本当だ。どうして?」
不思議なココノエとアオエに、情報通のタマが「それは」と話し出す。
「飼い主が在宅ワークになった事で、家で過ごす時間が増えたからだ」
「いい事なんじゃないか。一緒に過ごす時間が増えて」
「けれども、飼い主はそうもいかない。飼い主は仕事や学校が休みじゃなくて、お家で仕事をしているだけだ。遊んでもらえると勘違いして構いに行ったら、喧嘩になったという例があったな。確か」
ここで、アオエが首を傾げる。
「そもそも在宅ワークって何なんだ?」
「そりゃあ、家で仕事をする事だろう。普段は会社でしている仕事を家でやるっていう」
「でも、うちの飼い主は仕事しないで遊んでくれるよ?」
「何!?」
これにはココノエだけではなく、シロエとタマも声を上げてしまう。
「どういう事だ!? おれの飼い主はずっと仕事してるぞ!」
「うちもだ」
「タマも同じく」
猫役員の飼い主は皆んな務め人。
どこかしらの会社で働いている。
それは、アオエも同じはずだった。
「うちの飼い主はパソコンだけつけて、あとは遊んでくれたり、寝ていたり、ご飯作っていたり。たまに出掛けたりしてるよ」
「アオエばかりズルイぞ。おれだって、飼い主が仕事終わるのを待っているのに」
「うちは飼い主の家族も在宅ワークをしているから、居場所が無くて困っているというのに……」
「タマは隣の家のおばあちゃんとおじいちゃんのところで構ってもらっているよ」
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