ダメ出しが続いて

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『ひまわり国のオンライン猫端会議〜異世界で猫になった僕が見たのは、パソコンを使う猫たちだった〜』という、データのタイトルを何度も眺める。 「これならいいだろう……」  猫が主人公で、異世界を舞台にしたファンタジー作品、昨今の情勢を反映させた要素も盛り込んでいる。  未だかつて誰も考えた事がない、物語のはずだ。  今時の若者向けにタイトルだけで、どんな物語かわかるようになっている。  僕はメールを送信すると、そのまま布団に寝そべる。  やがて力尽きたように、いびきをかき始めたのだった。  しばらくして、窓辺に気配を感じて、薄目を開ける。  そこには、白猫、ロシアンブルー、三毛猫、黒猫らが部屋を覗き込んでいたような気がした。 「やっぱり、コイツはアホにゃ」 「編集者の言葉に踊らされてるにゃ」 「普通に王道ファンタジー作品を書けばいいのににゃ……」 「いつになったら、気づくにゃ」  そんな話をしていたような気がするが、一瞬、目を閉じた隙に白猫以外がいなくなっていた。  最後に残った白猫は、こう言ったような気がした。 「でもま。面白い話かもしれないにゃ」
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