NO.1

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ー宮野なるー  「なるー!おはよぉ!」 私が通学路を歩いていると、背後から声が聞こえてきた。聞きなじみのある声だ。 声の主のほうに振り向くと、今日もしっかり巻いてセットしてある長い髪の毛が、宙をふわふわと飛んでいるのが分かった。 「おはよー!まりなちゃん、今日は珍しく学校間に合うね…!」 私が返事をすると、まりなちゃんはにっこりと笑って 「珍しく、は余計だぞー、一週間前は間に合ったし」 と言う。 一週間前って結構前だなぁ…。 という気持ちは出さずに、私はあははっ、と笑う。 私はこの子があまり好きではない。 いや、好きなんだけど、私と友達でいてくれるのがどうしてなのか、分からずにいる。 私がまりなちゃんと呼んでいる、木下まりなさんは、クラスの中心的存在だ。 通常だと私なんかが絶対に関わることができない私とは真逆の存在だった。
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