私の魅力

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 森さんが、私を? 『久住に疲れたら、俺のところに来い。ベタベタに甘えさせてやる』  森さんの声を思い出して、赤くなる。  ベタベタに甘やかしてくれる森さんは簡単に想像がついた。  森さんの彼女になったら、幸せだろうなぁ。  びっくりして、唖然としたまま、家に帰った。  部室に寄らなかったのに気づいたのは、家に着いてからだった。  翌日、部室に行くと、遥斗先輩はなんとなく不機嫌だった。  無口なのはいつもと変わらないんだけど、どこかイライラしているっていうか、むっとしていた。  なにを話しかけても、ほとんど「あぁ」しか言わない。  よりによって、次の校内新聞の部活紹介は野球部で、こないだ撮ってきた写真を見て選ぼうとしたけど、森さんの顔が目についてしまって、なかなか集中できなかった。  先輩も機嫌が悪いのに、私がいても邪魔だろうと思って、その日は早く帰った。  次の日もその次の日も遥斗先輩は不機嫌で、こんなこと、初めてで私は戸惑った。  なにか怒らせるようなことをしたかな?と思うけど、思い当たることはなくて、そもそも怒っているとも違う気がする。  イライラオーラを漂わせる先輩のそばに居続けるのはしんどいから、早々に帰った。  さらに翌日、まだ不機嫌だった。もう私がここに来るのが原因としか考えられなかった。  私が邪魔なのかな……。  不機嫌の理由はわからないけど、少なくともそんなときに来られても嫌だよね? 「遥斗先輩……。私、しばらくここに来ないほうがいいですか?」  思い切って言った私の言葉に、先輩はとても驚いた顔をして、私を見つめた。  違ったのかな……?  驚くってことはそんなことを考えてなかったってことで、ちょっと安心する。  そう思ったのに、先輩は綺麗な顔をしかめた。 「お前は………」  言おうかどうしようかためらいを見せた先輩は、言葉を続けた。 「お前は俺が不幸じゃないと興味をなくすのか?」 「はぁ?」  なにを言ってるの?  言われた意味がわからない。  だいたい先輩が不機嫌だから、来てほしくないのかなって思っただけなのに、なんでそうなるの? 「なにそれ! 先輩がずっと不機嫌だからじゃないですか!」 「不機嫌なんかじゃない!」 「ずっとイライラしてたじゃないですか!」  私たちが言い合いをしているときに、トントンとノックして、真奈美先輩が入ってきた。  私たちの様子に目を丸くする。 「珍しいわね。ケンカしてるの?」 「違います!」 「違う!」  異口同音に否定すると、真奈美先輩が吹き出す。
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