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月光が木々の間をすり抜け、湖面に伸びる。ランタンが照らす湖の畔。ランタンの優しい橙に伸び、湖面の慈愛溢れる紺碧に浮かび、森に吸い込まれた妖艶な月明かりの銀に覆われた二つの人影が、重なる。
短い白髪と、一つに結わった黒髪が、立ったまま激しく前後する。
乱れた吐息と、湿っぽい声が水面に落ち、溶けた。
「はぁ、はぁ」
「んっ、つ、はぁ」
白髪の方の影が、黒髪の方の硬い胸板に両の手を預け、身長差で白髪が上目遣いに黒髪を見る。その緋色の瞳を舌先で舐めた黒髪は、白髪の頭を抱きよせて、首筋に口づけを落とした。
その口づけに全身が痺れ、腰が砕けそうになる。それを黒髪が抱き留めて、貪るような口づけを続けた。
風のない、穏やかな夜。
淫靡な水音が、甘い吐息と絡んで熱を孕む。
「……トイ」
そこで、夢は途切れている。
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