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2人は周りのワイバーンを全て倒した。2人が倒すと、中から人間と思われる子供たちが出てきた。どうやら魔界統一同盟の難を逃れた子供たちのようだ。子供の中には、自分以外の家族を連れ去られて、泣いている人もいる。
「大丈夫?」
サラは子供たちに聞いた。
「うん、僕は大丈夫」
サラは頭を撫でた。だが、その子供の手は震えていた。襲い掛かってきた魔界統一同盟の幹部を怖がっているのだろう。
「こわいよー!」
子供たちの中には泣いている人もいた。よほど彼らが怖かったに違いない。
「何があったの?」
泣いている子供の肩を叩きながら、サラは聞いた。
「パパが悪い怪獣に連れていかれちゃったよー!」
一緒にいた子供が、泣きながら言った。この子の手も震えていた。その子供も家族を彼らにさらわれた。その子供も彼らを怖がっていた。
「怪獣のお兄さん、こわーい!」
どうやら、彼らの家族はワイバーンたちに連れ去られたようだ。その姿を見てサラは思った。この子のために、何としても家族を助けなければ。王神龍を倒さなければ。さもなければ、彼らが悪い奴らに殺されてしまう。人間と魔族が共存する世界を維持するために、彼らを止めなければ。
突然、サラの頭上から黒いドラゴンが襲い掛かってきた。そのドラゴンは羽がボロボロで、まるでゾンビのようだ。死体を引き裂くと言われる黒いドラゴン、ニーズヘッグだ。そのニーズヘッグはワイバーンと同じペンダントを首からぶら下げていた。そのニーズヘッグはどうやら彼らの親分のようだ。彼はすごい形相だった。まるで何かに操られているようだった。
「あれ、何?」
「また怖いお兄さんがやってきた」
男の子はまた震えあがった。男の子は家に逃げ込んだ。
「こわいよー・・・」
「今度は誰だ?」
マルコスは舞い降りてくるニーズヘッグを見ていた。
「もしかして、ワイバーンたちの親分?」
サラは首をかしげた。
「そうかもしれない」
子供たちは再び家の中に避難した。今度こそ連れ去られると思ったからだ。
「お前、俺の部下を殺したな。俺が仇を討ってやる! お前ら、八つ裂きにしてやる! 覚悟しろ!」
ニーズヘッグはサラをにらみつけ、襲い掛かってきた。
「村をめちゃくちゃにしやがって。許さん!」
マルコスは炎を帯びた拳で殴りかかった。しかしニーズヘッグはびくともしなかった。
「人間を返せ!」
サラは炎を吐いた。ニーズヘッグはやや強いダメージを受けたが、やはりびくともしなかった。
「覚悟せよ!」
ニーズヘッグが襲い掛かってきた。
「俺の魔力を思い知れ!」
ニーズヘッグは魔法を使ってきた。マルコスが火柱に包まれた。マルコスは大きなダメージを受けた。
「うっ・・・」
マルコスは傷口を押さえた。ニーズヘッグはワイバーンよりも体力があり、いかにもボスのようだった。ニーズヘッグは、鋭いまなざしでサラを見つめていた。いかにも襲い掛かってきそうな様子だった。
「食らえ!」
サラは炎を吐いた。それでもニーズヘッグはびくともしなかった。どれほど体力があるのだろう。それとも、全く聞かないのか?サラは思った。
「俺の強さを思い知れ!」
そう言って、ニーズヘッグは強力な毒の爪でサラをひっかいた。そのひっかき攻撃はマルコスよりも強かった。
「うっ・・・」
サラは大きなダメージを受け、毒に侵された。サラは傷口を押さえた。
「癒しの力を!」
すぐにサラは魔法で体の中の毒を消した。
「世界平和のために、人間を捕まえるなんて、ひどい! しっかりと教え直せば、賢くなるんじゃないの?」
サラは傷口を押さえていた。
「そんなの、許さないぞ!」
マルコスは鋭い爪でひっかいた。
「食らえ!」
サラは炎を吐いた。だが、ニーズヘッグは痛がらなかった。
「ちっともひどくない。そんなことをやっても、効果はない。心正しき人ばかりの、素晴らしい世界になるのだぞ」
ニーズヘッグは笑顔をのぞかせながら言った。ニーズヘッグは毒を帯びた爪でマルコスをひっかいた。ワイバーンの毒の尻尾で刺されるよりも痛かった。マルコスは毒に侵された。マルコスは傷口を押さえた。
「癒しの力を!」
サラは魔法でマルコスの体の中の毒を消した。
「そんなの素晴らしい世界ではないわ!みんなが共存する世界が一番素晴らしいと思うわ。あなたの考え、間違ってるわ!」
「そうだぞ!」
マルコスは炎をまとった爪でひっかいた。
「そんなことはない!」
ニーズヘッグはサラをひっかいた。しかしサラは毒に侵されなかった。
「目を覚ませ! そんなの、素晴らしい世界ではない。つまらない世界だ! 生きる人は、個性があるから面白い。お前は間違っている」
マルコスは反論した。マルコスは鋭い爪でひっかいた。しかしニーズヘッグは痛がらなかった。だが、確実にダメージを与えていた。
「私もそう思うわ」
サラは炎を吐いた。
「それはどうかな?」
ニーズヘッグはサラを鋭い爪でひっかいた。だが、サラは毒に侵されなかった。毒の量がそんなに多くなかったからだ。
「これでも食らえ!」
サラは炎を吐いた。しかしニーズヘッグはびくともしなかった。しかしニーズヘッグの傷口が広がっていた。確実にダメージを与えている。このまま攻撃すれば、必ず勝てるはずだ。サラは徐々に勝てると思い始めてきた。
「許さないぞ!」
マルコスは鋭い爪でひっかいた。
「悪魔の炎の力を思い知れ!」
ニーズヘッグは黒い炎を吐いた。体に炎が移りやすい悪魔の炎だ。この攻撃は、体に火が点きやすいうえにダメージが大きい。2人はこれまでで最も強いダメージを受けた。その炎を受けて、マルコスの体に火が点いた。マルコスは慌てて、火を消そうとした。だが、火は消えなかった。
2人はニーズヘッグの攻撃に苦戦を強いられた。
「食らえ!」
サラは激しい炎を吐いた。ニーズヘッグの体に火をつけることができなかったが、大きなダメージを与えることができた。
「とどめだ!」
マルコスは何度も鋭い爪でひっかいた。ニーズヘッグは大きなうめき声を上げ、地面に倒れた。2人は何とかニーズヘッグを倒すことができた。ニーズヘッグは驚いた。相手があまりにも強かったからだ。
死ぬ間際、ニーズヘッグは言った。
「おのれ、よくもやったな。だが、心配はいらぬ。ほかの仲間が、父なる創造神王神龍様の思いを受け継ぐはず。そして、われらの理想の世界が創造されるだろう」
ニーズヘッグは目を閉じ、息絶えた。
それを偶然見ていたワイバーンたちは驚いた。
「あいつら、強い。今すぐ犬神様に報告だ」
「ひとまずここは退散するぞ!」
ワイバーンたちは大急ぎで逃げた。
「ふぅ、助かった。あの人たち、何者?魔界統一同盟って、何? 父なる創造神王神龍様の思いを受け継ぐ?ますます王神龍ってやつが気になるわね。我らの世界が創造さっる? 人間を捕虜するなんて、ひどい! かわいそう! 何としても彼らを止めないと、人間がかわいそう。それに、我々の世界って、何? なんだか、怖い」
サラはため息をついた。今さっきのニーズヘッグとの戦いで疲れていた。
「僕もそう思う。早く止めないと」
サラは決意した。このまま放っておくと、人間が滅びてしまう。人間と魔族の共存が続くように、一刻も早く王神龍を倒して、人間の滅亡を阻止しよう。
「それにしても、犬神様って、誰?」
マルコスは思った。
「さぁ?初めて聞いた」
家に隠れていた人間が出てきた。人間は辺りを見渡した。また彼らが出てくると思った。
丸坊主の少年が言った。彼らの両親と祖母は、ワイバーンに連れ去られた。
「もう大丈夫かな?」
「もう大丈夫みたいだ」
「また、あいつらが来ないかな?」
「どうして僕だけ残したのかな?」
「お父さんが連れていかれちゃったよー」
「大丈夫? きっとお父さんは元気にしてるよ。心配しないで」
「あのワイバーンは、人間を捕まえて何をしようというのかね」
「どうして魔族は襲われないのかな?」
「人間は何も悪くないのに、どうして?」
「お母さん、どこに行ったの?」
それを見て、サラは行方不明になった母のことを思い出した。
「この村の奥には、誰も知らない何かがある。だが、そこに行った人はいない。そこに行ったら、生きて帰れない」
サラは空を見た。気が付くと、もう夕方だった。サラは夕焼け空を見上げた。
「もう夕方だわ。おうちに帰らなくちゃ」
「うん、帰ろう」
2人はアインガーデビレッジを後にして、ハズタウンに帰ることにした。
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