第3話 異変

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 2人は周りのワイバーンを全て倒した。2人が倒すと、中から人間と思われる子供たちが出てきた。どうやら魔界統一同盟の難を逃れた子供たちのようだ。子供の中には、自分以外の家族を連れ去られて、泣いている人もいる。 「大丈夫?」  サラは子供たちに聞いた。 「うん、僕は大丈夫」  サラは頭を撫でた。だが、その子供の手は震えていた。襲い掛かってきた魔界統一同盟の幹部を怖がっているのだろう。 「こわいよー!」  子供たちの中には泣いている人もいた。よほど彼らが怖かったに違いない。 「何があったの?」  泣いている子供の肩を叩きながら、サラは聞いた。 「パパが悪い怪獣に連れていかれちゃったよー!」  一緒にいた子供が、泣きながら言った。この子の手も震えていた。その子供も家族を彼らにさらわれた。その子供も彼らを怖がっていた。 「怪獣のお兄さん、こわーい!」  どうやら、彼らの家族はワイバーンたちに連れ去られたようだ。その姿を見てサラは思った。この子のために、何としても家族を助けなければ。王神龍を倒さなければ。さもなければ、彼らが悪い奴らに殺されてしまう。人間と魔族が共存する世界を維持するために、彼らを止めなければ。  突然、サラの頭上から黒いドラゴンが襲い掛かってきた。そのドラゴンは羽がボロボロで、まるでゾンビのようだ。死体を引き裂くと言われる黒いドラゴン、ニーズヘッグだ。そのニーズヘッグはワイバーンと同じペンダントを首からぶら下げていた。そのニーズヘッグはどうやら彼らの親分のようだ。彼はすごい形相だった。まるで何かに操られているようだった。 「あれ、何?」 「また怖いお兄さんがやってきた」  男の子はまた震えあがった。男の子は家に逃げ込んだ。 「こわいよー・・・」 「今度は誰だ?」  マルコスは舞い降りてくるニーズヘッグを見ていた。 「もしかして、ワイバーンたちの親分?」  サラは首をかしげた。 「そうかもしれない」  子供たちは再び家の中に避難した。今度こそ連れ去られると思ったからだ。 「お前、俺の部下を殺したな。俺が仇を討ってやる! お前ら、八つ裂きにしてやる! 覚悟しろ!」  ニーズヘッグはサラをにらみつけ、襲い掛かってきた。 「村をめちゃくちゃにしやがって。許さん!」  マルコスは炎を帯びた拳で殴りかかった。しかしニーズヘッグはびくともしなかった。 「人間を返せ!」  サラは炎を吐いた。ニーズヘッグはやや強いダメージを受けたが、やはりびくともしなかった。 「覚悟せよ!」  ニーズヘッグが襲い掛かってきた。 「俺の魔力を思い知れ!」  ニーズヘッグは魔法を使ってきた。マルコスが火柱に包まれた。マルコスは大きなダメージを受けた。 「うっ・・・」  マルコスは傷口を押さえた。ニーズヘッグはワイバーンよりも体力があり、いかにもボスのようだった。ニーズヘッグは、鋭いまなざしでサラを見つめていた。いかにも襲い掛かってきそうな様子だった。 「食らえ!」  サラは炎を吐いた。それでもニーズヘッグはびくともしなかった。どれほど体力があるのだろう。それとも、全く聞かないのか?サラは思った。 「俺の強さを思い知れ!」  そう言って、ニーズヘッグは強力な毒の爪でサラをひっかいた。そのひっかき攻撃はマルコスよりも強かった。 「うっ・・・」  サラは大きなダメージを受け、毒に侵された。サラは傷口を押さえた。 「癒しの力を!」  すぐにサラは魔法で体の中の毒を消した。 「世界平和のために、人間を捕まえるなんて、ひどい! しっかりと教え直せば、賢くなるんじゃないの?」  サラは傷口を押さえていた。 「そんなの、許さないぞ!」  マルコスは鋭い爪でひっかいた。 「食らえ!」  サラは炎を吐いた。だが、ニーズヘッグは痛がらなかった。 「ちっともひどくない。そんなことをやっても、効果はない。心正しき人ばかりの、素晴らしい世界になるのだぞ」  ニーズヘッグは笑顔をのぞかせながら言った。ニーズヘッグは毒を帯びた爪でマルコスをひっかいた。ワイバーンの毒の尻尾で刺されるよりも痛かった。マルコスは毒に侵された。マルコスは傷口を押さえた。 「癒しの力を!」  サラは魔法でマルコスの体の中の毒を消した。 「そんなの素晴らしい世界ではないわ!みんなが共存する世界が一番素晴らしいと思うわ。あなたの考え、間違ってるわ!」 「そうだぞ!」  マルコスは炎をまとった爪でひっかいた。 「そんなことはない!」  ニーズヘッグはサラをひっかいた。しかしサラは毒に侵されなかった。 「目を覚ませ! そんなの、素晴らしい世界ではない。つまらない世界だ! 生きる人は、個性があるから面白い。お前は間違っている」  マルコスは反論した。マルコスは鋭い爪でひっかいた。しかしニーズヘッグは痛がらなかった。だが、確実にダメージを与えていた。 「私もそう思うわ」  サラは炎を吐いた。 「それはどうかな?」  ニーズヘッグはサラを鋭い爪でひっかいた。だが、サラは毒に侵されなかった。毒の量がそんなに多くなかったからだ。 「これでも食らえ!」  サラは炎を吐いた。しかしニーズヘッグはびくともしなかった。しかしニーズヘッグの傷口が広がっていた。確実にダメージを与えている。このまま攻撃すれば、必ず勝てるはずだ。サラは徐々に勝てると思い始めてきた。 「許さないぞ!」  マルコスは鋭い爪でひっかいた。 「悪魔の炎の力を思い知れ!」  ニーズヘッグは黒い炎を吐いた。体に炎が移りやすい悪魔の炎だ。この攻撃は、体に火が点きやすいうえにダメージが大きい。2人はこれまでで最も強いダメージを受けた。その炎を受けて、マルコスの体に火が点いた。マルコスは慌てて、火を消そうとした。だが、火は消えなかった。  2人はニーズヘッグの攻撃に苦戦を強いられた。 「食らえ!」  サラは激しい炎を吐いた。ニーズヘッグの体に火をつけることができなかったが、大きなダメージを与えることができた。 「とどめだ!」  マルコスは何度も鋭い爪でひっかいた。ニーズヘッグは大きなうめき声を上げ、地面に倒れた。2人は何とかニーズヘッグを倒すことができた。ニーズヘッグは驚いた。相手があまりにも強かったからだ。  死ぬ間際、ニーズヘッグは言った。 「おのれ、よくもやったな。だが、心配はいらぬ。ほかの仲間が、父なる創造神王神龍様の思いを受け継ぐはず。そして、われらの理想の世界が創造されるだろう」  ニーズヘッグは目を閉じ、息絶えた。  それを偶然見ていたワイバーンたちは驚いた。 「あいつら、強い。今すぐ犬神様に報告だ」 「ひとまずここは退散するぞ!」  ワイバーンたちは大急ぎで逃げた。 「ふぅ、助かった。あの人たち、何者?魔界統一同盟って、何? 父なる創造神王神龍様の思いを受け継ぐ?ますます王神龍ってやつが気になるわね。我らの世界が創造さっる? 人間を捕虜するなんて、ひどい! かわいそう! 何としても彼らを止めないと、人間がかわいそう。それに、我々の世界って、何? なんだか、怖い」  サラはため息をついた。今さっきのニーズヘッグとの戦いで疲れていた。 「僕もそう思う。早く止めないと」  サラは決意した。このまま放っておくと、人間が滅びてしまう。人間と魔族の共存が続くように、一刻も早く王神龍を倒して、人間の滅亡を阻止しよう。 「それにしても、犬神様って、誰?」  マルコスは思った。 「さぁ?初めて聞いた」  家に隠れていた人間が出てきた。人間は辺りを見渡した。また彼らが出てくると思った。  丸坊主の少年が言った。彼らの両親と祖母は、ワイバーンに連れ去られた。 「もう大丈夫かな?」 「もう大丈夫みたいだ」 「また、あいつらが来ないかな?」 「どうして僕だけ残したのかな?」 「お父さんが連れていかれちゃったよー」 「大丈夫? きっとお父さんは元気にしてるよ。心配しないで」 「あのワイバーンは、人間を捕まえて何をしようというのかね」 「どうして魔族は襲われないのかな?」 「人間は何も悪くないのに、どうして?」 「お母さん、どこに行ったの?」  それを見て、サラは行方不明になった母のことを思い出した。 「この村の奥には、誰も知らない何かがある。だが、そこに行った人はいない。そこに行ったら、生きて帰れない」  サラは空を見た。気が付くと、もう夕方だった。サラは夕焼け空を見上げた。 「もう夕方だわ。おうちに帰らなくちゃ」 「うん、帰ろう」  2人はアインガーデビレッジを後にして、ハズタウンに帰ることにした。
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