真実と冷たいあの人

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「うん、ほんとそうだね」  みんなの前であっさりと言い放ったのは、ユウリだった。 「ひどいっ!!」号泣するミカ。  私も最初は、「ひどい。ユウリはなんて冷たい人なんだろう」と思った。  けど、考えてみればそれは間違いだ。あの人の冷たさは、相手のことを本当に思いやればこそ。  確かに、何事かを思い悩んでいる人には、とりあえず言って欲しそうな言葉をかけておけばその場は丸く収まる。しかしそれでは何の解決にもならないし、かえって問題が複雑化してしまう可能性すらある。  もちろん、真実を伝えるという事はとても勇気がいる事だ。それが相手を全否定するような事ならばなおの事。しかしここで耳触りの良い言葉だけを投げかけて「良い人」を演じたとして、それがいったい誰のためになるというのか。  だから勇気を出して。今こそ真実の言葉を。 ・女子トイレにて ミカ「どーしよーやばーい、また太っちゃったよ~あたしってデブだよね、もうほんっとデブってるしブサイクだよね~」 その他女子「ソンナコトナイヨーカワイイヨー」 ミカ「えー、だってさあ、ほらここ二重アゴだしっ、終わってる~」 その他女子「ソンナコトナイヨーカワイイヨー」 ユウリ「……うん、ほんとそうだね」 その他女子一同、凍り付きながらユウリを見つめてゴクリ。 ミカ「……え?」 ユウリ「え? だから、ほんとデブでブサイクだなって」  ブヒー! ブヒー! と号泣する80キロ越えのミカの姿は、なるほど豚そのものだ。やっぱダイエットした方がいいよ、ミカ。 (おしまい)
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