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私の願い
たったひとつだけ、本当の願いが叶うのなら他には何も望まない。
自分ではない誰かになりたい。
生まれ変わって別な世界に行きたい。
あの人に愛されたい。
でも本当の願いは叶える事ができないから皆自分の手が届く所で妥協してこれで満足だ、幸せだって言い聞かせてる。
じゃないと自分が余りにも惨めで死にたくなる。
私もそんな人間のひとり。
「やっぱ今日も佐々木君カッコいいなぁ〜。」
「イケメン、高身長、サッカー部のエース、頭も良いし、人気者だしそれに…」
「ああいう人って本当にいるんだなぁ〜。
どんな人がタイプなんだろ?」
「あれっ?
2組の東條さんと付き合ってるって噂だけど知らなかった?」
「えぇ!?
マジか…東條さんかぁ…
やっぱウチらにチャンスはないのか〜!
ねぇ未来ぃ〜。」
何か頭の中に良い言葉が降りて来そうな気がする。
が、徐ろに肩を揺すられたせいで何処かへ行ってしまった。
「へぁ!?
ど、どうしたの??」
「こいつ…ま〜た関係ない事考えてたな〜。」
私じゃなくて皆が私にとって関係ない話しをしてただけだ。
「仕方ないって、未来はまだそういうの分かんないもんね?」
分かる事なんてあるんだろうか?
皆分からなくて不安だから、口に出す事で励ましたり肯定して欲しいだけなんじゃないだろうか?
でも私はいつも通り私に嘘を付く。
「ごめん…。
あの雲、なんかシュークリームみたいだなぁって。」
いつも通り面食らった顔で見つめ合う友達。
そして決まってこう言う。
「…本当に未来はそればっかりだな〜!!」
「なんかあれこれ悩んでるのがバカバカしくなってくるよね〜。」
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