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恨んでいるか?
大師は、
胡座を空中でかく膝の上に、
指で印を結びながら瞼を開く。
「テュルク王将軍らしいのぉ。」
ウーリューウ藩島城の状況を
一瞥するかに
遠視した大師は、再び
夜行虫灯りのラボ作り部屋に
意識を戻してきた。
「もしもなぁ、マイケルを、
調整世界に投入せんなんだら
テュルク王将軍の何は。別時間に
あったのじゃからなぁ。許せ。」
大師は白顎髭をしごき 納める。
今、中央の円卓は、
半透明で精密な 双璧のジオラマ
が、上下にマイケルを挟み、
周りに 12の花結晶を旋回させて
『走査』続けている。
光の柱は、
粒子が凄まじい負荷を掛け
激しく粒子移動する動きを
していく為、
離れている 大師の目にも
まざまざ見えるほどの迸りと
勢いになる。
溶液を飛び散らせる鉱炉のような
激しい眩しさと、磁場率が
誕生の泥沼さほど
重い。
「そんな激流に穿たれる感覚は
思念体とはいえ、いかばかり
かのぉ、マイケルよ、、、」
既に先ほど、今際の際を見ている
のにも係わらず、、のぉ。
と、大師は
すでに人間らしさの感情は
昇華させている
自身であっても 知らぬ斬壊では
無いと、
溜息を吐いた。
「最初、おぬしの前に姿を
あらわしたのは、雪の積もる
山の洞じゃったよなぁ。」
空間には誰も居なく、
全てが 『居る』場所でもあって、
大師は 独り言を
廻る、星渦を 監視しながら
ポツリと洩らしていく。
「あの時のおぬしの顔は
傑作じゃっなわなぁ。ふぉっ」
空間は ラボ。
全ての世界を投影する事が
可能な設定。それが故に、
こんな風に
大師が言葉とすれば、
徐々に 室温が下がり始める。
「おぬしなぁ、どれだけ お嬢様
なんじゃ?恋愛の為に 遍路を
廻るなんぞよぉ。わからんなぁ。
護衛を2人も付けてなぁ。
おぬしと2人で話する場所の
選定にどれだけ難儀したか。」
ゆっくり
ゆっくりと周りに思考の霧が
霞がかり、
「でもなぁ ほんに、
わしも 驚いた。まさか、わしの
遍路姿を視るモノが 外の国から
来ていた旅行者じゃったんじゃ」
から。それも、運命か。
『ガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーン ..
Oooon Ooun Ooooon Ouoon゜゜
゜ Oooon Ooun Ooooon ゜゜ ゜ ゜ ゜ ゜ 』
゜ ゜
゜ ゜
鐘の音が、霧に吹かれて
法螺貝の 合図と、
白銀の雪に代わる
迷故三界城、
悟故十方空、
何処有南北、
本来無東西 、
マイケルが 恋愛のお遍路を
双子のボディーガードを連れて
歩く道は、
あまりに過酷な場所で、
毎年滑落して、
ヘリ救助されるという難所。
古石の墓、
命懸けを匂わせる過酷な場多々。
見晴らし悪く、
沢山の石像と石柱ある峠。
マイケル達は、
聖と俗の境界と
遍路で 言われる
山中に着く。
正装の白衣は
死に装束。
巡礼を通じ生まれ変わる。
一旦死の世界に
入るという、遍路の奥深さを
肌で感じる道。
ヘアピンカーブの野苔むす階段を
緊張しながら、雪の中
3人進む。
滑るからとマイケルが
双子に声掛けられた
時
それは、突然だった。
『Oooon Ooun Ooooon Ouoon゜゜
゜ Oooon Ooun Ooooon』
「ねぇ、何?この音?向こうから
聴こえるけど、誰か遭難?」
マイケルが見ると
正規のルートから脇に、
横道が伸び、そこから音がする。
狭き道を進む。そこに、
洞窟。
大師の像がある、、
「狭いけど誰か出れないとか?」
難所も越えて、
マイケルが 地図を思えば
車でも来れる林道も近い。
なら、
危険は過ぎている。
「ちょっと、中を、みるわ。
狭いから
2人は、 待っててちょうだい」
マイケルは、指示をして
音がした 洞窟の祠に入る。
「失礼するわ。誰かいるの?」
声を掛けるが、
無人は一目でわかる。
あるのは野趣溢れる
大師の石像だけ。
「気のせいか、、
なら、この大師像にも真言を
唱えて、出ますか。えっと、」
マイケルは、
目を瞑り、
息を整え 真言を唱え
目を開いた。
「誰!!」
目の前には
石の大師像ではなく、
生身の『大師っぽい』人物が立ち
黒い空間に 自分は 佇んでいた。
『Oooon Ooun Ooooon Ouoon゜゜
゜ Oooon Ooun Ooooon ゜゜ ゜ ゜ ゜ ゜ 』
゜ ゜
「いやいや、貴方が 大師そのもの
だって云われても!
百歩譲ってよ、世界の為にって
拉致られて、神隠されても。」
理不尽しかないし!!
マイケルが、
遍路装束の『金剛杖』を
怪しい仙人男に 投げると
杖は大師をすり抜けて、
黒い空間に消える。
「な?!幽霊?!やだ、こわ!」
マイケルは装束鞄から
塩を出して、投げたのに、
その塩が マイケルにバラバラと
降りかかってくる始末。
「ギャーーー!!ーーーなに
何なに何なに何なに何なに何!」
半狂乱になるマイケルに、
「あのなぁ、今おまえさんは、
魂と意識の、思念体じゃし、
わしも同じじゃ。ここはなぁ、
体っちゅう器があっては、
これん空間故に、何しても
なんもならんし、何にもなる」
呆れて大師が、
石像と同じ風体だったのを、
笠遍路の装束に変化させて
みせた。
洞窟で
祈りに目を閉じて開ければ
生の大師だという
老人に、
世界を救って欲しいとか
詐欺まがい勧誘を
受けて、
マイケルは気が、
「ウソ。わたし、 死んだの。」
狂いそうだっ。
「死んどらん。いや、近いか?
とにかく、あの洞窟に仕掛けた
魔法陣にて、おぬしの体は霧散
した。わしの願いを聞かぬと、
再び身体の器は成されんぞ。」
黒い空間から、
ラボみたいな部屋に
通され後
マイケルは、不毛なやり取りを
大師と散々繰り返して
いる。
「もー、それ選択肢ないじゃ
ない。恋愛するためにオヘンロ
してたんだから。早く
やることして、帰らせて。」
帰らせては、30回は
叫んでるって!! 爺い!!
マイケルは睨みを大師に
きかせた。のに。
「話は早い。さすが合理的じゃ。
では、世界を救う手助けを、
してくれるわけじゃな。」
よし!言質とったぞーと大師の
目がキラリと光る。
こうなるとさすがに、
マイケルも観念したわけで。
「わかった。一体わたしを、
誰だと思ってるの?
『 マイケル・楊 』よ?
華僑一族 を汲む、十氏族の2家、
馬一族と楊一族の
ハイブリッドセレブ子女。
その気になれば、武器も軍隊も
調達できるし、世界中に
王公貴族のフレンドもいるから、
大抵の事はなんとかできるわ!」
ヤケクソな ドヤポーズを
悪役令嬢並みにして
みせた。
「残念じゃが、おぬしにして
もらう世界は、おぬしの住まう
次元世界じゃない。
異次元や異世界とを、おぬし達の
次元世界につなぐ 調整世界じゃ」
そんな、マイケルを 気の毒な
視線で諭す大師は、
「え?何のアドバンテージもない
別世界?じゃあ、わたし関係ない
無理ね。やらない。義理がない」
言い出すマイケルに
最後の切り札じゃ!とまでに
大師は
「いやぁ、義理どころか、多いに
おぬし達に関係する世界じゃぞ。
もし、おぬしが上手くやれ
なんだら、おぬしの運命の相手が
住んどる大陸が沈むんじゃから」
やや残酷な宣告をした。
「なんで!天変地異レベルよ!」
その宣告に、
マイケルの足の力が抜ける。
「そういう世界なんじゃ、
調整世界っちゅうもんは。
わしら人智を越えたモノは、
各々の世界には介入できん。」
大師は、
円卓のジオラマを指し示して、
その空中に、
もう1つ シャンデリアな
ジオラマを出現させた。
「しかし世界は影響しあっとる。
1つの世界の終焉は多大じゃ、
大事になる前に、調整世界を
使って整備をする。今必要と
なっとるのが、おぬしの世界」
どうやら、
上に浮かぶシャンデリアな
ジオラマが、マイケル達の世界だ
と、言っているらしいと、
マイケルは
理解するしかない。
「それって、大陸が沈むだけ
じゃなくて、わたし達の世界に
終わりがくるから、整備する
ってこと?何?頭おかしくなる」
気にするなと、
大師は
杖でマイケルの頭を
コツンとすると、
「おぬしに選択肢はないのは、
い云えておる。了解じゃな ?」
では、始めようぞと
何かを描いていく、
「おぬしを 器に入れて、
調整世界へ。健闘を祈る。」
大師の姿がだんだん白い霞みに
見えなくなれば、
『ガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーン ..
Oooon Ooun Ooooon Ouoon゜゜
゜ Oooon Ooun Ooooon ゜゜ ゜ ゜ ゜ ゜ 』
゜ ゜
゜ ゜
て?!説明が雑ーーー! 鐘?
チュートリアルは?!
マニュアルとかないの?!
何するのよーー!
タイムオーバーとか、地雷とか
何かシバリとかーーーーーーー!
消えながら吠えるマイケルの声。
とわいえ、
大師からも、マイケルの姿は
霞みに消えて
行くべき世界へ
転送されていく そんな
始まりだった のう。
゜ ゜ ゜ ゜
゜ ゜
゜ ゜懐かしいのう。
あの初めて 。
話をした時からなぁ、
おぬし、恨んでたの かのお 。
。
のぉ? 。
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