第2話 少年からの招待

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その言葉を最後に勇気の記憶は途切れていた。 気づいた時には地面に仰向けの状態で気絶していた。 勢いよく起き上がった勇気は頭を押さえながら辺りを軽く見渡した。 大きな雲で覆われたどこまでも続く空。 空中には赤い羽根が何枚も浮かんでいた。 そして、落下してきたときに見た、城のような形をした黒色の大きな建物。 風景的には余り変わらないが、ここが別世界であることはわかっていた。 そしてふと横を見ると、小さく寝息を立てて寝るここに招いた少年がうつ伏せで寝ていた。 勇気は涙目で叩くように少年を起こそうとした。 「ちょっとぉぉぉぉ!何してくれるんすか!?どうしたらいいんだよぉ!」 その声を聞いてか、少年が起き上がり大あくびをした。 「ふわぁぁぁああ、酷いなぁ叩くなんて。だいたい君が地面に着くなり気絶するから時間を食ってしまったよ。」 そう言うなり立ち上がり、膝についた砂を落とし、手を腰にやり、自己紹介を始めた。 「君も起きたことだし、少し説明してあげるよ。ボクの名前は、エレシア。あの大きな建物、魔法学校エルブレンドの学園長をしているよ。君には魔法の素質が大いにあると判断して、ここに連れてきた所存だ。君には頼みたいことがいくつもあるんだよね。特に…この世から魔法を抹殺して欲しいんだよね〜!」 そう明るく喋るエレシアをぽかんと勇気は見ていた。 魔法?学園長?抹殺?何がなんやらで分からない。何が始まったのかすら分からない。 いや、始まっていないかもしれない。 勇気は天を仰ぎ、一人静かにもう一度後ろに倒れたのだった。
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