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プロローグ
「一緒に行く人が行けなくなったから」
そんな理由で、入学式のブラウスとスカートを着せられて連れて行かれたのは、「大茶会」というイベントだった。
アリスのお茶会みたいな紅茶の会ではなく、畳に座って和菓子を食べて抹茶を飲む場所だった。
着物を着た人が何をしているのかわからなかったけど、和風のお洒落な道具を準備して一杯の抹茶をつくってみせるパフォーマンスが新鮮に感じられた。
寒天がきらきらした紫陽花みたいな和菓子を食べて、苦い抹茶に眉をしかめる。
そんな私を見たお姉ちゃんは、珍しく笑顔を綻ばせていた。
最後に見た、お姉ちゃんの笑顔だった。
私が7歳だったから、お姉ちゃんは18歳。
あれから15年近くが経つ。
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