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過去編②
その日以来、遊斗は美織とたびたび会うようになった。
同じバスに乗り合わせることもあり、並んで座っておしゃべりを楽しんだ。と言っても、遊斗がゲームをしている横で、美織が一方的に話しているだけだったが。
どうやら、美織は恩人である遊斗に一目惚れしたらしい。遊斗もまた、美織の人となりを知っていくうちに惹かれていった。
やがて二人は付き合うようになり、幸せな日々を送っていた。
しかし別れは突然訪れた。
ある日の休日、美織から遊斗の携帯へメッセージが届いた。
『別れよう。もう連絡して来ないで』
「……は?」
ゲームのことでいっぱいだった遊斗の頭の中が、一気に真っ白になった。
すぐさま美織に電話したが、一向に繋がらない。メールも返信は来ず、メッセージも既読がつかなかった。
「一体、どうなってんだよ……」
美織に直接問い正したかったが、遊斗は彼女の住所を知らなかった。
否、知ろうともしなかった。毎日会えるからと、軽く考えていた。
友人にも相談してみたが、
『そりゃ、フラれたな。他に男でも出来たんじゃね? さっさと忘れちまえよ』
と笑われた。
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