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「なんで、カメラ……」
「もう少ししてからの方がいいですか?」
「なにいって……っぁ、や、くそくが違……んんッ……」
「どうせだったらさーハメ撮りアへ顔ダブルピースじゃね」
「貴方は思考がベタ過ぎるんですよ。エロアニメの見すぎです」
「図星だからなにも言い返せない」
「でもまあ、ハメ撮りですか。なかなか良い案ですね。それなら元さんが私に股……いいえ、心を開いたと分からせるには手っ取り早いですし是非採用させていただきましょうか」
次から次へと出てくる耳を塞ぎたくなるような単語の数々になんだかもう生きた心地がしない。
五条の執拗な乳首への愛撫で逆上せかけていた俺の思考は、能義の言葉で急激に冷静を取り戻す。
「は、ハメ撮り……?」
「おや、お坊っちゃまな尾張さんには馴染みないですか? 貴方のお尻の穴に私のをハメハメしている様子をカメラに収めるんですよ。楽しそうでしょう」
「副会長の言葉責めも大概キモいっすね!」
「おや、心外ですね。分かりやすく説明してさしあげただけというのに」
俺の背後にいる五条に手を伸ばし、そのまま耳朶についたピアスを引っ張りながら能義はそう微笑む。
すぐ耳元で「ギャアアア」と悲痛な悲鳴が聞こえ、不意に体を抱き竦める五条の腕が離れた。
確かに写真は撮ってもいいと言ったが、そんな決定的なものを記録に残されてみろ。
というかまず俺が突っ込まれる時点で色々おかしい。いや、俺が挿入する側ならいいというわけではないがとにかく色々おかしい。
ついでに五条の顔面に肘鉄を喰らわせた俺は、「オギャア」と悲痛な声を上げる五条の腕から逃げ出す。
「あっこら! お待ちなさい!」
「ああっ! 眼鏡割れた!」と嘆く五条を他所に、逃げ出す俺に目を丸くした能義は声を荒げた。
あまり逃げるような真似はしたくなかったが、この場合仕方がない。
スラックスを持ち上げながらそのまま教室から出ようとする俺に、背後から能義の舌打ちが聞こえてきた。
そして次の瞬間。
「この私から逃げようだなんて一ヶ月早いですよ」
なんでそこだけ控えめなんだよ。
と思わず突っ込みそうになったとき、背後から伸びてきた能義の手に脱ぎかけの制服を引っ張られる。
ボタンをつけず全開になっているワイシャツを能義に引っ張られ、もうこれ脱いだ方が早くないかと悟った俺はガバッとワイシャツを脱ぎ、能義の制止をすり抜けた。そんな俺を見て「尾張の公開勃起乳首」と騒ぎ出す五条に床に置いてあった雑巾を投げ付け、胸を隠したくなる衝動に駈られたが絵面的に色々問題があるのでそのまま構わず俺は教室の扉へ向かう。
「この……ッ」
そして、俺が扉を開こうとしたときだ。どこぞの悪役のように吐き捨てる能義は、今度こそ俺の腕を掴む。
思ったよりも足が早いようだ。掴んだ腕を無理矢理捻り上げてくる能義に、俺は身動ぎをさせる。
「いけませんねえ、元さん。まだ撮影会の途中ですよ? 約束はきっちりと守っていただけないと困ります」
「……ッつーか、最初に破ったのは能義たちだろ。写真撮るだけっつったの誰だよ」
「おや、私は貴方に一度も手を出してませんし貴方が約束をしたのも私でしょう。部長が貴方の乳首を勃たせいようが私には全くもって関係ありません。敢えて言うなら、部長も貴方の挑発的な乳首に「わかった。俺が悪かったからもう乳首には触れないでくれ」
大体なんだよ挑発的な乳首って。俺の本体は乳首かよ。
「なるほど、尾張さんは乳首も弱いと」
いや今のは単なる精神攻撃じゃないのか。
段々突っ込むのもバカらしくなってくるが、突っ込まれるのを黙って見過ごすわけにはいかない。
「部長、今度は貴方がカメラマンの番ですよ」
「よっしゃ輪姦するときも複数プレイをするときもいつも撮影・拘束係を任されて一切触らせてもらえない俺に任せといてくださいよ」
サラリと切ない発言をしつつ能義からカメラを受け取った五条。なにを思ったのか、能義は「記念に一枚撮りましょうか」と俺に笑いかけてくる。
「おっ和姦って証明するやつだろ。りょーかい、はい二人とももっとくっついてー。ちょっと尾張表情固いよ! 副会長相変わらずいい笑顔っすね! あっ、尾張青筋立ってる。あとちくいってぇ! 脛蹴らないで!」
肩を抱き、無理矢理くっついてくる能義から離れようとするが思ったよりも力が強い。肩に食い込む能義の指に顔をしかめた俺が、なんとかして能義を離そうとしたときだ。
「んじゃ、いきますよー。21-18は?」
「2ー」と自信満々に馬鹿回答をする能義と五条が声を合わせたとほぼ同時に背後の教室の扉が勢いよく開いた。
カシャリとカメラのフラッシュが瞬くのと同時に背後を振り返る俺と能義。そして、そこには……。
「……あやちゃん……」
あやちゃんもとい生徒会書記、彩乃ちゃんが立っていた。
というかまだ昨日のを引き摺っているのかこいつ。
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