1649人が本棚に入れています
本棚に追加
五十嵐と別れてから科学室の場所を聞きそびれたことを思い出した俺は一旦職員室に向かい、たまたま空いていたホスト教師・雅己ちゃんに連れていってもらう。
「ったく、今朝注意したばっかなのに一限目から遅刻たぁいい度胸じゃねぇの」
「ごめんってば。小便行ってたらいつの間にかに皆居なくなってたんだから仕方ねーじゃん」
「どんだけ長いんだよ、お前のは」
「やだ雅己ちゃんったらセクハラ……」
「その発言が俺に対するセクハラなんだけどな」
そんな他愛ない会話を交えながら歩くこと暫く。
特別教室棟、科学室前。
「んじゃ、後は一人で行けるな?」と尋ねてくる宮藤に俺は頷いた。
「ありがとー雅己ちゃん」
「おう。しっかり学んで来いよ」
科学室の扉を開く俺に、宮藤はそう軽く手をヒラヒラさせる。ああ、俺の周りが皆宮藤みたいなやつばっかりだったらよかったのに。思いながら、「すみません遅れましたー」と言いながら俺は科学室へ入る。
科学室には、SHR時に教室にいた生徒の過半数しかいなかった。そこに黒もじゃもとい岩片凪沙の姿を見つけた俺は内心ほっと胸を撫で下ろし、そのまま岩片の元へ歩いていく。
そう言えば、五十嵐の言うことが本当なら宮藤もなにか知っていたりするのだろうか。そんな疑問を抱きつつ、クラスメートから取り上げたであろうゲーム機で遊んでいる岩片の隣の席についた。取り敢えず、今は授業だ。
最初のコメントを投稿しよう!