五「蒼空を断つ二人」

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 弾け散る二つの閃光が、真昼の空をさらに白く染め上げる。 「ぐおおおおおおおおおおああああああああああああああああ!」 「うああああああああああああああああああああああああああ!」  二人の絶叫が奇妙な和音となって響き渡り、それと同調するように混ざり合った二つの気魄が上方向に伸びあがって、数百キロ離れた場所からでも見えるような高度まで上昇していく。  青空を真二つに断ち切る白い閃光が、大気に溶けて消えるまで。  その場にいた全員が、その光に目を眩ませているのを確かめることもせず。  息を切らした原理は、結界の端まで吹き飛ばされ、服も皮膚もボロボロになっていた。  それでも、立ち上がる。 「忌方君? 生きているの?」  ノイズの走る音声が、杏樹の声を伝える。そんなことをせずとも、気息を聴けば判りそうなものだろうに、とは思えなかった。 「…………なんとか。亜友、そっちはどうだ」 「二人の霊力が検知できなくなってる。でも、スキルアウトするまでじゃないかな」 「そうか。……じゃあ、空」 「うん」  結界の外でぼんやりと二人の戦闘を眺めていた空が、目に光を戻して。あらかじめ用意していた呪符に起動コマンドを打ち込む。  視界を戻したシノニムの眼に、原理の姿が映る。  その彼の右手が、不可解に閃いた。空中に何か絵を描くような、不思議な動きをじっと見ていると、不思議と目が離せなくなって、 「…………っ⁉」  がくん、と脚から力が抜けて、その場にへたり込んでしまう。 「金剛不動縛。お前も見ていたはずだよ、シノ」  声が聞こえているのに、それに返す気にならない。シノニムは、これが原理が仕込んでいた催眠だと気付くのに時間をかけていた。  ぐらぐらと揺れる視界の奥で、自分の終わりを感じ取ろうとして。  なのに、殺気すら出さない原理の眼にはそんなものは見えなかった。  身体を全く動かせない、金縛り。それは、身体能力を基礎にする殺人鬼としての力を封じられたも同然だった。  敗けたのだ、と感じても。  殺したい衝動は消えることなく燻っている。  原理は、結界の中央で預かっていた呪符を甲板に貼り付ける。それは、外で術を起動している空のコマンドと連動していて。  その周辺に描かれている紋様が、シンクロして柔らかなオレンジに輝きだす。 「仁輝神変―――発動」
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