五「蒼空を断つ二人」

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○ 「ははは、やっとゲン君も理解したみたいだね」 「笑えることなのかな、そんな無邪気に」  いいだろう? と尸遠は心底から面白そうにしていた。 「人の成長を見れるって、いいことだと思うよ。そうは思いませんか、四方さん」  通信の向こうで、杏樹が迷惑そうに唸る声で返す。 「そこで私に振らないでほしい。別に忌方君の色恋に対して抱く感想なんかないわよ」 「えー? でも、貴女もゲン君のこと狙ってませんでした?」 「穿ちすぎ。私には弟以上の存在には見えないの」  まあ、そう言うならそうだろうけれど。と、尸遠は寄り掛かる壁から青空を見上げた。時刻は判らないけれど、南中したあたりから、少しだけ太陽が傾いている。  いつもの通りに、地球は回っているのだった。
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