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美麗
久々の彼との帰り道
彼は言った。
ほんとはお前のことが羨ましかった。
そう言った。
そして
小さな声でアイツもお前が好きだし。
と呟く。
アイツが誰だかすぐわかった。
いつも僕に話しかけてちょっかいを出す女子だ。
何となく察してはいた。
でも彼は何も言わなかった。
だから僕も何もしなかった。
彼の声は震え気味で、
日暮しの夕焼けが僕らに
あまりにも眩しい光をみせつける。
彼は、立ち止まって言った。
許してくれ。
僕の目にはそんな彼が輝いて見えた。
他人目線で見たら、情けなく見えるかもしれない。
無様に見えるかもしれない。
それでも彼は美しかった。
ふたつの影が重なり合う
これからも仲良くしてくれ。
影が濃くなる。
「おう!」
僕の声は真っ赤な夕陽に消えた。
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