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朝だ。 久々に気分がいい朝。 前の調子が戻ったように、 体が軽い。 お母さんのところに走る。 「お母さん!僕、いけるよ!!」 寝ぼけたような顔をしたお母さんは 飛び起きたような顔して くしゃりと笑う。 「じゃ朝ごはん作るから支度しなー」 嬉しそうにご飯を作るお母さんの背中が愛おしかった。 彼女を迎えに行くんだから きちっとした格好で行かなくちゃ。 待ってるんだ。 僕の好きな人が待ってるんだ。 寝癖でまるで爆発したみたいな髪を水とドライヤーで何とか直していく。 そこまで完璧とは言えないくらいの髪型になったら。 ちょうどいいくらいだ。 お母さんの出来たよーの声が聞こえて急いで顔を洗う。 鏡を見てよしっと声を漏らしてしまうのが僕の癖だ。 そうだ癖だ。 そんな癖あったなぁ。 なんて思考が少し止まった。 まだー?とお母さんの声が聞こえて、 意識を戻される。 食べよう。 冷めないうちに。
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