難事件

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難事件

彼が話を聞かせてくれた。 昨日はこういうことがあって。 友達にこんなことを言われて。 私にとってはくだらなくて哀しい話。 でも彼の声色の変わりようは 前の彼を思わせていて。 どこか、私はもう不必要じゃないのかなと錯覚を起こす。 手を繋ぐことすらもう出来ない。 みんな、好きな人と手を繋いだりどこかへ出かけたりしたいなんて言ってるけど、 私には恥ずかしくて無理だ。 手が不意に当たっただけでも 心臓が脈打つように痛くなる。 彼の楽しそうな横顔は私をどんどん苦しめる。 でも、 彼が居るだけで学校に行く恐怖は薄まってく。 大丈夫なんだと自分を言い聞かせるんじゃなくて、 大丈夫だよと自分を安心させる。 そんな感じ。 恋愛感情なんて私には湧かないと勝手に思ってた。 でも勝手に湧いてくる。 今だったら分かるのにな。 ああ、 後悔ばかり募っていく。 彼の楽しそうな声を他所目に、 私はヒトリ、迷宮入りの難問へと向かった。
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