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平気
クラスに入るのはなんだか全然怖くなかった。
怖かったのは、
あの子がどんな反応をするか。だった。
みんなが彼と私に注目している。
恋愛ばかり気にする野次馬共は、私たちを冷やかす。
あの子がこっちを見ている。
あの子の哀しい目が私の目に飛び込む。
言わなきゃいけないそんな気がした。
彼の手から温かさを感じる。
今なら、言える。
頑張れる。
叫ぶんだ。
心から。
謝るんだ。
彼と過ごしたこの時間を無駄にしたくない。
やっとわかったよ。私も分かったんだよ。
だから謝るんだ。
喉につっかえる声を叫び声に変えた。
彼の手を離す。
離していく。
あの子の笑った顔。
私の大好きなあの子の笑った顔。
嬉しくて、堪らなくて、
耐え忍ぶ泪を噛み締めた。
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