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「おはよう!」 サトルは丸イスにどかっと腰を下ろし、カバンから焼きそばパンを取り出した。 「どう? 調子は?」 袋から半分出した焼きそばパンを手早く口にねじ込み、パック入りコーヒーにストローを突き刺して、ぎゅうっとひと吸いした。焼きそばのソースと甘いコーヒーのハーモニーがいかなるものかは個人の感想によるが、とにかく時間がないのだ。 「いやー、感動したわ。  昨日の 鈴木とおるvsベイダー戦!」 サトルは目を閉じ、昨晩のプロレス番組の熱い試合を思い出しながら、パンとコーヒーがなくなるまで名場面のポイントを解説していった。 「ふう。  あ、もうこんな時間か! んじゃ、また!」 ゴミ袋をカバンにねじこみながら足早に病室を出たサトルは、停めてあった自転車に乗り、自分が通っている高校へと戻って行った。 昼休みのチャイムとともにダッシュで教室を出て、購買部でテキトーなパンと飲み物を手に入れそのまま学校を抜け出す。そして近くの月極駐輪場に停めてある自転車で ミサのいる病室へと駆けつけるのがサトルの日課であった。 「おはよう」 ミサに最初にかける言葉はいつも決まっていた。 昼休みに病院通いをしているのはの面会時間の都合だ。そしてこの時間に朝の挨拶をするのには理由があった。 1日も早く目覚めて欲しい ──
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