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彼には何が何でも死んではいけない理由があった。
「俺が勇者に選ばれたと知った時、あいつは喜んだ。転生して何だが、あいつは今でも俺を待っているんだ。だから、死ぬわけにはいかない」
目を伏せる。
瞼の裏に焼き付くのは最後に見た×××の笑み。幸せそうで、自分のことでもないのに喜んでいた。
期待を裏切るように逃げた彼をどう思っているのか。今、何をしているのか。知りたい気持ちがあるものの、怒っていたらと考えると中々会えずにいた。
「はぁ? お前、よく読まずに契約しただろう。最後のところにオプションで蘇生システムが書いてあるぞ。ま、入会金は取るが」
「……………」
何ともシリアス的な展開を堂々とぶち壊した女神。
証拠だと言わんばかりに指している先には『死んでも…あら不思議! 簡単に蘇生出来る蘇生システム! 今なら入会金10万トル。退職まで保証する安心さが多くのユーザーから愛されています』と書かれている。明らかに怪しげな内容である。
今までの勇者達はこれに入会したのだろうか。
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