プロローグ

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 しかしまたも女神は現れる。 「……………」 「……………」  互いに気まずい雰囲気で見つめ合う。  フォスも魔王が現れてから数十年、人々の生活にどれ程被害が出たのか知ってはいる。魔王に滅ぼされた国や村があることも分かっている。  だが、ろくに剣も振ることが出来ない自分が勇者になるのはお門違いである。 「あの、言いたいことがあるならはっきりと言えば良いじゃないですか。ほら、無言のまま睨み付けるのは失礼ですし」  初対面でも友人でも、無言で睨み付けたままで何も喋らないのは失礼に当たる。自分の気持ちを伝えたいのなら、きちんと伝えるべきである。  例え口が無くとも手話を使い、伝えれば良い。  女神は首を捻る。
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